携帯獸−Parody−

□白に落ちる赤
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チキチキっと手元でカッターが鳴る。


出てきたのは鋭利な刃物。


それを普段リストバンドで隠れている所に当てる。


それだけで空腹感でくらっと来てしまう。


手首から滴るのは赤く濁った己の血――…。













カントー最高峰のシロガネ山の頂点。
いつも真っ白な雪と灰色の空しかない場所。
今日も俺はそこに向かっていた。

頂に登るといつも挑戦者を待つレッド。
それがいつも見ている光景だった。


「レッド〜?」


呼ぶといつもは返事はするのに今日は返事が返って来ない。

不安に思いつつもいつもの仮宿に向かった。



足元でカシャっと音が鳴る。



そこには真っ白な雪の上についている赤黒いものと




「カッター……?」




赤黒いものは血であることは確かだ。
カッターには血痕が付着している。




「……っ!レッド!!」




そいつを持って俺はその場から駆け出した。













驚いた。


まさか、途中でグリーンが来るとは思わなかったから。


走って逃げたせいか、舐める量が足りなかったせいか、息が整わなくて思わず雪に膝がつく。


ぐらっと来て、やばい、と思った時には僕の意識は落ちていった。













辺りを走って回ると、仮宿から近い所にレッドはいた。


そのレッドは真っ白な雪の上に倒れていた。




「レッドっ!!」




慌てて身体を起こすとあまりにもその身体は、冷たい。


顔色も雪に劣らないくらい真っ白だった。


片方の腕を取ると、手首からは血が流れていた。





「……っ。とりあえず運ばねーと」





体温の低いレッドに自分の体温を移すように強く抱き締めた。
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