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□A HAPPY NEW YEAR!2012
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「‥‥ッド‥‥レッド」
僕の名前を呼ぶ声がする。
冬だから寒くて、布団から出たくない。
「レッド!起きろ!」
バッと布団をめくられて、まだ重い瞼を頑張って上げる。
「ん〜‥‥?グリーン?‥‥まだ7時前だよ」
近くにあった時計を見て答えると、僕はもう一度暖かい布団の中に潜る。
「いいから起きろ!‥‥ってアレ?」
「すぅ‥‥」
「寝んな!!」
再びバッと布団をめくられる。
何度もやらないでよ。寒いでしょ‥‥。
*
「‥‥ねむい」
目をこすって何とか開けるが、眠いものは眠い。
「レッド、これ着ろ」
「ん‥‥」
意識が覚醒しきらないまま、厚手の服を渡される。
なすがままに来てようやく頭が起きてくる。
「おら、こっちもだ!」
頭に何かぽすっとあてられた感覚。
鏡を見ると、眠そうな顔をした僕の耳にピカチュウの耳あてがつけられていた。
首を傾げるとグリーンは「コトネがくれたんだよ」と答える。
かく言うグリーンの耳にも、イーブイの耳あてが。
外に出ると、顔面に刺さるような冷たい風が吹き付ける。
「寒い‥‥」
「シロガネ山を拠点にしてる奴に言われてもなぁ」
「彼処は別。温度変化で寒いの」
「まぁいいや。リザードン!」
グリーンはリザードンを出すと、彼の背中に乗る。
「ほら、手」
差し出されたを握ると、引っ張られ、リザードンの背中にグリーンの後ろに乗せられる。
「よっし!行くぞ!」
どこに?、と言う前にリザードンは地上から浮かび上がった。
「寒い‥‥。眠い‥‥」
「お前なぁ‥‥、俺の方がさみーんだけど!」
「ん‥‥」
目の前の背中にひっつくと、グリーンの身体は硬直する。
昔からグリーンの体温は暖かいんだ。僕よりも。
「子供体温‥‥」
「悪かったな子供で!‥‥って俺と年変わんないだろ」
「でも‥‥あったかい」
抱き締めてると、顔が赤いのが見えてるよグリーン。
「レッド」
「何?」
ひょいと身体を抱えられると、膝の上におろされる。
「こっちの方がいいな」
ギュッと抱き締められる。
ちょっと顔が見れないのが不満だ。可愛いかったのに。
「レッド、あっち見てろよ!」
「ん?うん?」
グリーンが指を指した方角を見ていると雲の隙間から日の光が輝く。
あぁ、そうか。今日はお正月だから‥‥。
「きれい‥‥」
「だろ?レッドと見たかったんだ。初日の出」
そう言ってキスされる。
どこかの映画のワンシーンみたいで、初日の出は綺麗だったけど、グリーンも格好良かった。
「改めて明けましておめでとうレッド。今年もよろしくな」
「うん。僕こそよろしくね」
二人で笑ってしばらく日の光を見つめ続けた。
A HAPPY NEW YEAR! 2012
end
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