携帯獸−Main−
□アンタがいたから
1ページ/4ページ
カントーとジョウトの間にそびえ立つ極寒の地、シロガネ山。
カントーでもジョウトでも見たことない程の銀世界が視界を占めている。
シルバーは色彩を放つ赤い髪を払うとマフラーに顔を埋めた。
シルバーの赤とは違う赤が白に姿を現す。
「君、誰?」
何処か不思議な印象の彼は振り返ってシルバーを赤い瞳で見る。
間違いない、コイツだ。
三年前彼処で見た伝説。
俺の人生一度壊した人。
「アンタレッドだろ?
俺とバトルしろ」
モンスターボールを突き出すと、途端に赤の少年‥‥レッドは雰囲気を変える。
無表情だった顔に変化が訪れた。
「いいよ。
‥‥始めようか」
彼はモンスターボールを投げた。
*
雪に水色の肢体が落ちる。それを撫でると、俺はモンスターボールの中に戻した。
「‥‥君似てる」
「?」
「と、思ったけどバトルだけだった」
レッドはシルバーに語り始める。
その表情は何かを思い出すように目を細めていた。
「強くなろうとしてもがいて抗って‥‥それでも足りなくて」
「‥‥何が言いたいんだ?」
「君、名前は?」
「‥‥シルバーだ。
俺は昔アンタに会ったことがある」
奧にいるように言われていたけれど、こっそり見ていたんだ。
いきなり騒がしくなって何がなんだかわからなくて。
その時、アンタを見つけた。
赤い瞳に怒りを宿し、必死に戦うアンタと。