守りたいモノ

□最終章:そして、涙を流した
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「これから、どうするか、決めねぇとな。」

黒玄は少し他人事のように軽い口調で言ってのけると、
「あなたも一緒に考えるんですよ?」と狛は彼に呆れた口調で言った。
それに対して彼は「はいはい、分かってますよー」と明るく言った。
そんな彼らを皆見ながら、サリアははぁ、とわざとらしくため息をついてみせた。

「わざとらしすぎる。まったく…ジュリ、お前の守護者たちは頼りがいがないぞ。」

サリアがそう笑いながら言ってのけてはジュリアの方を見つめると、
彼らの話もサリアの話も聞いていない様子で
三人が吸い込まれるように消えていった空を眺めていた。

そんな彼女を見ては狛は歩み寄ると、
彼女達から少し離れたところへ、何かが落ちてきているのを黒玄が見つけた。

「おい、なんかってか、人が落ちてくるぞ?」

それは紫の髪を持つ女性、翠との戦いに敗れた、ルージュであった。

彼女は「失敗、失敗。も〜ほんとに痛い、最悪。」などと着地を失敗したらしく、
立ち上がると、自分の衣服を軽く払いながらブツブツとぼやいていた。
彼女はジュリアたちに気付いたらしく、そちらの方へ向かおうと一歩、踏み出した瞬間、
バーンッと銃声音が辺りに響いた。
それは黒玄が威嚇射撃といった感じで、彼女の足元へ一発撃ったものであった。
彼女は驚いたように銃を構えている彼を見つめると、降参といった感じに両手を挙げた。

「もうっ、ひどいんじゃない?」

彼女はまるで自分は悪くない、といった様子で地団駄を踏むと、
黒玄の威嚇にも構わず、ジュリアの元に歩み寄った。
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