守りたいモノ

□最終章:そして、涙を流した
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ジュリアは相手の熱い眼差しに
軽く苦笑を溢しながら、軽く頷いた。

「翠、が言ったなら…、
それに今から忙しくもなりそうだしね…。」

彼女はルージュから視線を外すと、
荒れ果てた魔界を見渡した。

そして、彼女は手を前に突き出すと、
音もなく木の立派な古びたように見える杖が現れた。

それを大きく一振りすると、
荒れ果てた魔界の大地には小さな小さな芽吹きが、
更に空は晴れているにも関わらず、
恵みの雨が降り注ぎ、
一時すると七色の橋が空に架かった。

彼女はその恵みの雨に濡れながら、
そっと周りにバレない様に一筋の涙を流した。

そして、雨の止んだ空には赤、青、緑の羽が
空に舞っていたのを彼女は見たが、
ジュリアには知らせなかった。

彼女はその羽たちに願いを乗せる為に、
周りに気付かれない様、腰の辺りで人指し指で円を描くと、
空に吸い込まれるように消えた。

そして、彼女は小さく満足げに笑みを浮かべた。


――END
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