守りたいモノ
□第四章:決断を下す
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死を覚悟し、黒玄の攻撃を受けることにした彼女は、なかなか来ない攻撃を不思議に思い、震えながら、目を薄く開けた。
すると、目の前には燃えるような赤が広がっていた。
「だいぶ、頭に血が昇っていて、冷静な判断が出来てないみたいだな、黒玄。」
赤の彼女は黒玄を少し見下すように、そして、馬鹿にするような口ぶりで言った。
「なんで、…いるんだよ、サリア…様。」
少しつまりながら話すが、"様"の部分は少し不本意ながら、後から付け加えるも、それに対し
、サリアと呼ばれた彼女は少し可笑しそうにクスッと笑みを零した。
「今は口うるさい狛も翠もいないんだ。"様"はなくていい。むしろ、そっちの方が俺は好きだな。」
彼女は笑いながら言うものの、ジュリアの姿を見ると、悲しそうな表情を浮かべ、彼女の元へ行った。
そっと抱き上げ、軽く頬を叩くと、ジュリアは薄く目を開け、サリアの顔を認識すると、驚いたように目見開いた。
「なんでサリちゃんが?どうして?いつ?なんで?」
ジュリアは混乱しており、「なんで?」とばかり訊ね、それに対し、苦笑を浮かべながら、「落ち着け。」とサリアは何度も繰り返していた。