守りたいモノ
□最終章:そして、涙を流した
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ジュリアはシュナンを見つめながら、口を開いた。
「…今から、貴女はどうするんですか?」
今までとは違い、優しい声音でそう訊ねた。
シュナンはそんな風に接してもらえるとは思っておらず、少しあたふたと戸惑うようにジュリアを見上げた。
「…私はなるべくなら、ジュリア様に償いたい。
許されるとは思っておりません。
ですが、私は魔族として魔界の為に働きたいのです。
私は天界と交流することは反対ですが、壊したいわけではなかったのです。」
彼女は崩壊した魔界を見つめながら、そう訴えた。
それに対して、黒玄は怒りを露わにしながら、声を大にして言ってのけた。
「魔界をこんなにしたのも、あの三人がここにいないのもお前たちがしたことのせいだろうが、今さら、何都合の良いことを「黒玄。」
黒玄の言葉を遮ったのは狛であった。
「な、狛だって同じだろうが、なんでそうやって…」
彼はイライラを狛にぶつけるものの、はぁ、とわざとらしくため息をつくと、「本当に甘い。」と不満を漏らした。
「ジュリア、どうするんですか?
彼女はこんな風に言ってますが…」
狛はあくまでもジュリアに従うつもりだ、とでも言うように、彼女に意見を求めた。
「…許しません。
ですから、今から私の下についてもらいます。
いいですね?」
最初らへんは静かに怒りを含んだ声音であったが、最後は彼女らしく明るい声音で言ってのけた。
そんな彼女を見て、サリアはほっとしたように小さく笑みを口元に浮かべた。