君と私。

□雨音と少年
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「き、貴様こんなところで何をしている!」
思わず上ずった声で赤い頭に問いかけると


「雨宿りしてんだよ!お前こそ何してんだよこんな所で」
と少し不思議そうな表情をして見上げてきた。


「私はこの城の住人だ。ここにいて当たり前だろう。」
と言うと

「え…じゃあまさかお前…」
と言って目を見開いていた。


ああ、やっぱりそうか。
みんな、私の正体を知ると近寄って来なくなる。
こいつは気づいて無かっただけか…
少し落ち込んでから

「そうだ。私は貴様達が怪物と呼ぶ者だ。さっさと逃げるがいい。」

そう言って城に入ろうとした瞬間


…後ろから笑い声が聞こえた


「き、貴様なに笑っている!?」
と言うと
赤い頭はいかにも可笑しそうにクククッと笑いながら
「まさか、街の人達が騒いでた怪物がこんな可愛いとはな」
と言って立ち上がった。


「か、可愛い!?貴様…私が怖くないのか…?」
「お前なんかのどこが怖いんだよ。」
ふわりと笑った
思わずドキッとしたが気のせいだろう。

それから、私のフードを取って
「とりあえず中に入れてくれ…寒い」

と言ってきた。


世の中には変わった人間もいるんだな…
「暖かい部屋で温かいスープ……でも飲むか?」
とりあえずついてこい
そう呟くと、赤い頭は嬉しそうに後ろをついてきた。
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