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□友の華
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※現パロ四年女体化
久々→タカ 綾部視点


綾部が同学年の女の子を罵って泣かせて水をかけて最後に平手打ちまでかましたらしい。
昼休みに私が起こした出来事は帯鰭も背鰭もついて一つ上の幼なじみの耳にまで泳ぎ着いたようだ。

「で、どこまでが本当だ」
「泣かせたまで」

放課後いつものように音楽室に篭ってピアノを独占していた私を訪れるや否やそう聞いてきたはち兄に悪びれた風もなく答えれば、大きな溜息が降ってきた。

「お前がさ理由もなくそんな事するような奴じゃねぇ事くらい分かってるぞ?でもいくら何でも泣かせるってお前…」

片手で顔を覆ってうなだれるその心境を表してやるように低い音をいくつかぽろろんと弾いてやる。
こっちの心配もしらねぇで、と恨みがましい視線を寄越されたが気にしない。
だったらほっとけばいいのにと思うがお節介な幼なじみにそんな事を言ったところで更にお小言を貰うのは長年の経験から既に承知済みだ。

「何があったんだよ」
「…………」
「え!?あ!おいっ、きい!」

無遠慮に尋ねてくるはち兄に大好きなピアノを弾く気を根こそぎ削がれた。
何も言わずにかばんを持って音楽室を出ると彼は慌てて後を追ってくる。

「ちょっと待てよ!何怒ってんだ?」
「怒ってない。お腹空いたから帰る」
「あー…悪ぃ。言いたくねぇんなら無理に聞かねぇから」

幼なじみは時に便利で厄介。
言葉にしなくても何でもかんでも簡単に見透かされてしまう。

「……ムカついたからやったの。でも反省はしない」

絶対、と一言付け足すと顔は見なくたって苦笑いをしているのが分かる。

「んー、でもまあ大丈夫だ。身内の贔屓目無しにしてもお前の方が可愛いから」
「……何それ」
「あれ?違う?」
「だからモテないんだよ」

何を勘違いしてるのかデリカシーの欠片もありやしない。
不服だと言わんばかりに隣で騒ぐはち兄を無視して、そういえば滝が私には敵いもしないがそれなりに可愛いと人気の生徒だとかぐだくだ言っていたなと思い出した。
長ったらしい自慢話だから大して聞いてもいなかったけど。
大体やってる事がブスなんだから顔なんか関係ない。
私はそれを面と向かって言っただけ。

「好きを理由に何でもしていい訳ない」

幼稚なイジメを正当化して恋慕を盾にするなんて馬鹿のやる事だ。
その馬鹿に私の大切な友達は傷つけられて泣きそうな顔して笑ってた。
だから許せなかったの。
向日葵みたいな笑顔を咲かせる彼女にあんな表情をさせた奴が。
正しい事をしたなんて思ってない。
でも間違った事をしたとも思ってない。
それなのにこんなに胸がもやもやするのは今日最後に見た彼女の顔があまりにも悲しそうだったから。
きらきら輝く髪色とは真逆に今にも泣いてしまいそうなほどに顔を歪めて私を見ていた。
心優しい人だから私のした事に喜ぶとは思っていなかったけど、そんな顔をさせたかった訳じゃないの。
いくら思考を巡らせても胸の蟠りは消えてはくれない。

「……あ…」

ふと見つけたのは前を歩くきっちり制服を纏った後ろ姿。
原因なんて言うのは九割方八つ当たりだって分かってるけど、走り出したら止まれない。
つかえた想いの丈をぶつけるように憎らしいその背中に思いきり蹴りを入れてやった。



ヘタレ豆腐っ!さっさと告れ!






現パロ綾部♀は特技ピアノ、趣味土いじり。竹谷と綾部は幼なじみ。
綾部は久々知に男前豆腐になってみろよ!って常々思ってる。


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