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□咲かせてみせよう
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※現パロ四年女体化
くく→タカ前提 三木視点


「ブス」

お弁当を広げる生徒で賑わう教室が喜八郎のその一言によって水を打ったように静まり返ったのは今日の昼休み。
いつもの四人でお昼を過ごそうとクラスが違う(まあそれは私もだけど)タカ丸さんを迎えに行った時に起こったその事件は瞬く間に学園中に広まった。
何せ言われた女の子は学園でも可愛いと有名な生徒で、更に言った当人も西洋人形を思わせるような美少女ときたら美女VS美女とかで周りは放っておかない。
喜八郎のひがみだなんだで噂が勝手に独り歩きをしているがあくまで噂は噂だ。
大体自分の容姿にすら無頓着な喜八郎が他人の容姿をひがむなんて事はこの先絶対に有り得ないと言ってもいい。
それに喜八郎がなぜあんな事を言ったのかと知る私達にとっては何を馬鹿な事を、と面白がる周囲の人間に呆れと憤りを感じずにはいられない。
放課後になった今でも事件の熱はまだ冷めない校舎を後に、ひどく落ち込む年上の同級生を滝夜叉丸と二人で慰めながら帰路を歩く。

「タカ丸さんがそんなに落ち込む事ありませんよ」
「そうですよ。タカ丸さんが責任を感じる必要はないです」
「喜八郎は頭で考えるより先に体が動くような奴ですから。今に始まった事ではありませんよ」
「滝夜叉丸の言う通りです。だから元気を出してください。タカ丸さんは何も悪くないんですから」
「……うん、ありがとう」

そう言って力無く笑うタカ丸さんは今にも泣きそうでこれ以上何と言ったらいいのか分からなくなる。

「そもそもタカ丸さんは被害者じゃないですか。喜八郎のやり方が正しいかは分かりませんが、あの女も自業自得というものです」

クラスの子達からねあんまり好かれてないみたいなんだ、とタカ丸さんの口から聞いたのは二月ほど前の事だ。
その時はまだ態度がよそよそしいくらいの話であったが、日を増すにつれて陰湿なものへとエスカレートしていった。
そのリーダー格を勤めていたのが今回の被害者であり加害者の女子生徒である。
理由はタカ丸さんへの嫉妬。
成績優秀、品行方正、眉目秀麗の三拍子揃った一つ上の先輩、久々知兵助に思いを寄せていた女子生徒は途中転入のタカ丸さんが久々知先輩と同委員会で仲が良いのを妬んでいた。
おまけに久々知先輩がタカ丸さんに惚れてるのは誰の目から見ても明らかなのが(タカ丸さんは全く気づいてないけど)余計に面白くなかったのだろう。
理不尽なやり方についに喜八郎がぷつんとキレた。

「二度も滝夜叉丸と同意見なのは不快ですが、タカ丸さんの方がもっと辛い思いをしたんです。こう言ってはなんですがいい気味ですよ」
「なんだと三木ヱ門!優秀で美しいこの私と同じ意見を不快だと!?」
「うるさいぞ滝夜叉丸!私は本当の事を言ったまでだ!」

いつもの如く突っ掛かってくる滝夜叉丸に負けじと言い返す私の耳に悲しげにぽつりと呟くタカ丸さんの声が聞こえた。

「…私ね怖いんだ……」
「え?怖い?」
「大丈夫ですよタカ丸さん!何をされようとこの成績優秀な滝夜叉丸がいる限り必ずや安全を保障いたします!」
「違うの…私がどうとかじゃなくて、綾ちゃんに何かあったらどうしようって…」

それが怖い、じわりと目に涙を浮かべるタカ丸さんはやっぱりどこまでも優しくて人がいい。
俯くタカ丸さんを間に滝夜叉丸と顔を見合わせると、相手も同じ事を思ったのか私と同じように苦笑いを浮かべていた。

「心配いりませんよ。あの喜八郎ですよ?むしろ相手のほうを心配します」
「それよりタカ丸さんが落ち込んでいる方が喜八郎は嫌だと思います。あいつはタカ丸さんの笑った顔が好きですから」
「三木ちゃん…滝ちゃん…」
「ね、だから笑ってください」
「何があっても大丈夫です。私達がヒーローよろしく駆け付けます」
「二人共…っありがとう!」

漸く見れたタカ丸さんの笑顔はきらきらと輝いていて、私達二人もつられて笑みを浮かべる。
よかった、元気になってくれた。
タカ丸さんが落ち込んでいるようであれば喜八郎は益々自己嫌悪に陥ることは分かっていたから。
ここにいないふわふわ頭のあいつは幼なじみである一つ上の先輩がきっと何とかしてくれる。
そしたら明日は四人で寄り道をして帰ろう。
確か駅前に新しい店が出来たはずだ。



「明日四人でクレープを食べに行きませんか?」
「わあ!行く行く!」
「三木ヱ門にしてはいい事を言うじゃないか」






難産。途中何書きたいのかわかんなくなった。私の書く四年はいつも綾部がいない。

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