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□妬む
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※二年後設定


ふらりふらり。
あの人は二年経って、六年生になった今も全く変わらない自由奔放さ。
それを探すあの人もやっぱり変わらなくて、いつも気まぐれな作法委員長を探しに駆け回ってる。
綾部せんぱーい!と遠くで聞こえる声なんか日常茶飯事だし。
僕の名前を呼ぶよりも綾部先輩の名前を呼ぶ方が多いのもいつもの事だし。

「別に気にしてないけど」
「……ならその手止めろよ」

フィギアが壊れる、と呆れを含んだように言う伝七にムッとして横目で睨みつけた。
知らずに力が入っていたらしい右手は、首化粧用の生首フィギアがみしみしと音を立てている。
それを指摘された事が面白くなくて、何より今だに戻って来ない浦風先輩にムカついた。
元々大してなかったやる気もなくなって、何かもうどうでもよくなったから手元にある仕事を全部投げ出す。

「どこ行くんだよ!?」
「どこでもいいだろ。後よろしくー」
「はあ!?おい兵太夫!」

後ろでぎゃあぎゃあ言ってるけどそんなの知らない。
聞こえないふりを決め込んで、このイライラの矛先を誰に向けてやろうかと考える事にした。



まあ、先輩が迎えに来るなら許してあげなくもないけど。






綾部と兵太夫のお世話を出来るのは藤内しかいないと思う。

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