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□気づく
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※過去捏造
三木もタカ丸さんも気づかないのに。
滝でも分からないのに。
立花先輩すら欺いてしまえるのに。
どうしてあなたは気づくの?
私はそれが不思議でならないのです。
「どうして?」
私がいつ悲しみを唱えましたか?
私がいつ痛みを訴えましたか?
私がいつ助けを請いましたか?
言わなければ分からないと、表情の変化に乏しい私はずっと言われてきたのに、私が何を言わずともあなたが分かるのはどうしてですか?
「分かるに決まってるだろ」
だから、それはどうして?
いつの間にか言葉にしていた?
無意識にあなたに縋った?
知らずに涙でも流した?
そんなはずない。
そんな事しない。
顔に貼り付けた無表情はいつもと同じ。
誰にも悟られないはずなのに。
また、あなたは気づく。
「どうして分かるの」
「喜八郎の事だから」
ああ…、そういえばこの人は昔からそうだった。
些細な変化にも気がついて、小さな叫びさえ拾い上げてしまう。
決まってそう。
嬉しい時にも楽しい時にもあなたがいて、悲しい時にもあなたがいた。
背格好は変わっても、私の頭を撫でる温かい手は何年経っても変わらない。
「きいの事なら何だって分かる」
何年目だと思ってるんだ?
続いた言葉に何故だかひどく安心して、緩んだ涙腺をごまかすように太陽の匂いがする青紺色の忍装束に顔を埋めた。
でもきっと、彼は気づいてる。
センチメンタル綾部とそれに誰よりも早く気づく竹谷のお話。
某サイト様の竹谷と綾部同郷設定に激しく萌えました。
お互い二人になったら呼び方変わればいい。
竹谷→きい、綾部→はち兄