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□騙す
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原因なんて忘れた。
ただお互い意地になって後に退けなくなって…それに私は人より輪をかけて意地っ張りだから。
庄左ヱ門と彦四郎には悪い事をしたな。
委員会の仕事も途中で逃げ出してきてしまった。
頭に血が上って、咄嗟に勘右ヱ門の茶に粉末わさびを溶かしてやってしまったが怒ってはいないだろうか。
「ごめん」とたった一言言ってしまえばいいだけなのに、自分の可愛いげのなさにげんなりする。
ああ…もう最悪だ……。

「鉢屋!」
「っ!かん、えも……」

沈む気分の中、名前を呼ぶのはさっき喧嘩したばかりの友。
はあはあと肩で息をする彼は随分探し回ってくれたのだろう、額に汗が浮かんでいる。

「ど、どうして……」
「ごめん鉢屋!」

どうして追いかけて来たのか、それを聞く前に勘右ヱ門が私に向かって頭を下げた。

「俺意地になっちゃって、本当は悪いって分かってたのに…本当にごめん!」
「ち、違う!私の方こそ言い過ぎた…すまない勘右ヱ門」

自分が言えなかった言葉を簡単に口にした勘右ヱ門への罪悪感から、今まで喉につかえていたものがするりと滑り落ちていく。
私の謝罪に普段から丸い目を更に丸く見開いた勘右ヱ門だったが、すぐに嬉しそうな笑顔になる。
それに安堵し、さっきまでの不安が嘘のようになくなった私の前に一つの饅頭が差し出された。

「これ学園長の庵から取ってきたんだ。…鉢屋と仲直りしたくて」

そう言われてしまえば私に拒否をする理由などない。
ありがとう勘右ヱ門、と礼を言って饅頭を口にし咀嚼した途端に異変を感じた己の身体。
疑いもなく差し出された物を素直に口にしてしまった、あまりにも安直な自分の行いに反吐が出そうになるが、もう遅い。
自由の効かない、火照った身体に何を一服盛られたのかなんて聞かなくたって嫌でも分かってしまう。

「か、ん…っ貴様…!」
「どう?善法寺先輩特製の強力媚薬。ちなみに即効性」

にっこりと笑う目の前の男に残った理性をかき集めて殺意を放つが、次の発言に赤かった顔がさあっと青くなっていくのを感じた。

「ほら、俺ってやられたらやり返すが主義だからさー。つーかこれって学級委員長委員会の特性だよね」

素晴らしく辛いお茶をありがとう、と言って今にも鼻歌を歌いだしそうなくらいご機嫌な勘右ヱ門とは裏腹に私は今すぐにでもここから消えてしまいたい。
でももう、…手遅れだ。

「だーいじょうぶ!ちゃあんと兵助の部屋に連れてってあげるからね」

えへっ、と笑う勘右ヱ門は声にならない悲鳴を上げた私を担ぐと変態豆腐の元へと愉しそうに駆け出す。

「おいしく食べてもらうんだよ、鉢屋」
「い、いやらああああ!!!!!!」



下を全部脱がされ縛られた挙げ句、『兵助大好き。私を食べて』と紙を張られた私が豆腐プレイに苦しむのはまた別の話。

「こ、腰が……もう絶対あいつと喧嘩なんかしない…!」






勘ちゃんは笑顔で鬼畜だとおいしい。
続きのエロも書きたいな(^p^)


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