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□慰める
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「なんなのあいつら……」

毎日毎日、精神的にも肉体的にも攻撃を仕掛けてくる学園の一部生徒。
兵助には本気の攻撃を仕掛けられ、勘右ヱ門には笑顔で「早く別れちゃえばいいのに☆」と言われ、潮江先輩には予算を大幅にカットされ、七松先輩には「一緒にバレー殺るぞお!」と漢字変換の間違った誘いをうけ、庄左ヱ門には敵意を剥き出しにされ…。
俺が一体何をしたって言うんだ。
いや…したんだけど。
あいつらの大好きで大好きでやまない三郎と付き合っちゃってる訳なんだけど。

「だからってこれは酷くねぇか…?」
「何言ってんの。大好きな三郎が焼きそばなんかに盗られちゃったんだからこれくらい当たり前だろ」
「ちょ、雷蔵!今焼きそばなんかって言った!?」
「それとも何?ハチはもうギブ?」
「あれ?無視?」
「三郎のこと諦めちゃうの?ハチの覚悟ってそんなもん?」
「ンな訳ないだろ!俺は本気で三郎が好きだ!」

三年の時に芽生えた淡い恋心。
最初はそりゃあ戸惑って、友達っつう関係が壊れて傍にいれなくなったらって思うと怖くてずっと秘めていようと思ってた。
でも、あいつの一挙一動にバカみたいに一喜一憂して、ぼやけていた輪郭は年月を重ねる毎にはっきりと鮮やかになっていった。
友達でいいと思っていたのにそれだけじゃ満足出来ず、結局雰囲気も何もないまま勢いで告白した。
「…言うのが遅いんだよ、バカ」って顔を真っ赤にしてそっぽを向いた三郎を俺は一生忘れない。

「どんだけボロボロになったって俺は三郎と絶対別れねえ!」
「うん、ハチならそう言うと思ってた」

にっこりと雷蔵は常の優しい笑みを浮かべる。
三郎と付き合うようになった時、俺は正直死を覚悟してた(いや死なないけど)。
だが実際、お嬢さんを僕に下さい!的な勢いで雷蔵に告げれば「おめでとう」と満面の笑顔で祝福されたではないか。
その後も負け犬共から俺を匿ってくれたりと何かと味方をしてくれる。

「…雷蔵、俺誤解してた。三郎と付き合うってなったら真っ先にお前に殺されるかもって考えてたんだ。ごめんな」
「そんなこと気にしないでよ。僕はハチだから三郎と付き合うことも許せるんだ」
「雷蔵……」

お前っそこまで俺のこと…!

「だって…、ハチはヘタレだから三郎には手出せないもんね。手を繋ぐのが精一杯でしょ?三郎とヤろうなんて百年かかったって無理だもん。それだったらあんな血に飢えたような狼共より百歩譲ってハチのほうがマシかなって」

ねー、と笑う雷蔵が滲んで見えない。
気のせいだろうか。
頬を冷たいものが流れている気がする。

「まさか三郎を傷物にした訳じゃないだろうね」
「……メッソウモゴザイマセン」
「だよねえ」

どすのきいた声にやっとのことで返せば(実際手すら繋げてねえけど余計なお世話だ)、至極満足そうに雷蔵が笑った。

婿

後日、雷蔵の理不尽な言い分に泣く俺がいるのであった。






雷蔵様はいつでも雷蔵様。

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