きらきらきらきらきら。
輝いて見えるのは、きっとその人の掌に転がる金平糖だけではない。
庄ちゃん、と僕を呼ぶ声は砂糖の塊よりもずっとずっと甘く耳に響く。
「どうされたんですか?その金平糖」
「学園長先生のおつかいに行ったら貰ったんだ。庄ちゃんにおすそ分け」
内緒だよ、と悪戯に笑った先輩の言葉の裏にはきっと学園長先生からちょろまかした事をと言う意味合いが含まれているに違いない。
「はい。学園長先生には内緒にします」
「庄ちゃんたら冷静ね」
手を出すように言われ、差し出した掌に包み一杯に入った色とりどりの金平糖が手渡された。
先輩の手には余裕で収まるのに僕の手には溢れてしまいそうなのが当たり前の事だが悔しい。
「ほら、見てごらん。綺麗だろ?」
「はい。綺麗です」
「…金平糖は嫌いかい?あまり嬉しくなさそうだけど…」
不破先輩に似せた眉が不安げに下がる。
四つも年上のましてや天才と謳われる先輩にこんな事を思う事は間違いなのかもしれないが、可愛らしいのだから仕方ない。
「いいえ、ただ僕は鉢屋先輩以上に綺麗なものはないと知っていますから」
そう告げれば、本来の顔の持ち主のように目をまあるくさせた後、ふふふと小さく笑う。
「庄ちゃんたらお上手ね」
「そんなんじゃありません」
「でもそれは、委員会の先輩よりも好いた相手に言っておやり」
だからあなたに言ったのです、と言葉を飲み込んで。
今何を言ったところできっと信じてはもらえない。
手の届く距離で綺麗に微笑む想い人にどうしたら僕の本音は届くのだろうか。
口説いているのですよ、あなたを
他人からの好意に存外鈍いこの人は僕の溜息の理由にも気づかない。
庄→鉢好きだ!庄鉢増えろお!!