リレー小説(その三)
□Knight×Laurentia!
1ページ/2ページ
Side アル
ルーズベルトさんの話を聞いていた。
はっきりいって、僕には少し難しい話だったけれど、少しでも、あの人たちのことを知りたくて、一生懸命聞いた。
でも、結局理解できたのは。
―― 彼らが背負う、宿命。
僕らでは、到底背負うことが出来ないであろう、おもいおもい、何か。
そんなものを背負って、生きている彼らは。
きっと、苦しいだろうに。
辛いだろうに。
それなのに、まっすぐ生きている。
僕は純粋に、ソレを尊敬していたし、それ以上に、強く祈っていた。
―― どうか。
幸せになって。
これ以上。苦しまないで。
そう願うのに。
ヒトラー様に残された時間が多くないと、ルーズベルトさんは言った。
―― 期限切れ。
それは、つまり。
「このまま、償うことが出来なかったら、ヒトラー様は……」
僕の言葉の先を読み取って、ルーズベルトさんは小さく頷いた。
魔力が減っている理由。
ヒトラー様の顔色が悪かった理由。
そして、こちらは憶測でしかないけれど、フィアはきっとその話を、ヒトラー様から聞いたんじゃないかな。
フィアは、人並み以上に"死"とか、"命"とかって言葉に敏感だから。
ヒトラー様が背負う宿命と、彼を待ち受ける運命を聞いて、泣いたんだろう。
「……償いの、方法は、わからないと、前に言っていましたよね」
僕が尋ねれば、二人が頷く。
そうだ。
だから、困っているんだよ。
ヒトラー様は、器用だから、方法がわかっていることならば、きっととっくに解決している。
方法が見つからないから。
だから、今こうして。
最大の壁に、ぶつかっている。
「……そんなに」
「え……」
「そんなにも、重い罪なんですね……」
僕は、思ったことを素直につぶやいた。
驚いた顔をする、ルーズベルトさんと東条さん。
僕は、彼らを見て、いった。
「だって、ヒトラー様は今までに何度も僕らのことを、助けてくれた。
何度も何度も、力になってくれた。きっと、たくさんの人を救った。
それなのに……」
それでも償いきれぬ罪。
彼だけの罪じゃなくて、ほかの人の罪まで背負っているという、ヒトラー様。
"期間"がどの程度のものなのか、僕はよく知らないけれど。
そんな短期間で、簡単に償えるものじゃないんだとしたら。
一人で、すべてを背負うのは、不可能だろう。