リレー小説(その五)

□Knight×Laurentia!
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Side アル








東条さんがすぐにスターリンさんを連れて行く。

冷やした……かったみたいだけど、東条さんだって、もう魔力的に言えば限界のはず。

あんまり効果がなかったと見える。

もう少し冷やせ、という東条さんに唾憑ければ治る、なんていってるスターリンさん。

治りません。断言しますが治りません。

「まったくもう……」

たいしたことない、といわれたらそうだろうけど(任務中にはもっと酷い目に遭うんだろうしね)



―― もう少し、自分の身体を大切にしてください。



小さく呟く僕の声は、いつだって届かないんだから。







切にそう思いながら、ヒトラー様を見る。

東条さんが前髪を上げれば、そこには無数の痛々しい傷痕。

悲鳴によく似た悲痛な叫びを上げるヒトラー様。

東条さんが言うとおり、彼らしくない。

だけど、ヒトラー様が髪を上げるのを頑なに拒む理由がわかった。

東条さんが髪をあげればしようとすればそのたびに散る火の粉。



それでも東条さんが上げた前髪の影になっていた左目は、やっぱり綺麗な空色。

そう、空色。

フィアの蒼が海みたいで、ヒトラー様のは空。

青い瞳って、やっぱり好きだ。




でも、目をそらすことができなかったのは、その白い肌に残る傷痕。

古いものだな、と遠めにみてもわかった。

それにしても、あんなに傷が残ってしまうほどに……



―― 鞭……




酷いことをする。

幸い、目自体に怪我はしなかったみたいだけど、

そんなことになってたら失明してしまうではないか。




それがなかっただけ、ましかな?




―― いや、そうでなくとも……






  
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