リレー小説(その五)

□Knight×Laurentia!
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ゲーリングたちの行動の理由はわかった。

なぜ、ヒムラーたちと一緒にいたのか。

何が、彼らをそうさせたのか。

ボルマンってやつのことは知らない。

名前も聞いたことないし、関係を持ったことがない奴なんだろう。

俺が知らないんだ。

隣にいるアルがきょとんとしているのも頷ける。




俺は、思わず溜息をついた。



―― 対価。



―― Give and Take



それは、この世界で生きていくうえに、必要不可欠なものだと知っている。

だけど。

だけど……




そんなに、簡単なものなのか?

簡単に、手を組んだり、離れたり、敵になったり味方になったりしても、よいものなのか?


人間なんだ。

気に食わない奴や、腹が立つ奴がいたって、おかしくない。

だけど……

そんなに簡単に、始末だの、なんだのと……

「出来る、ものなのか……」




ハイドリヒが嗤う。

冷たい、嗤い方だった。



―― "ゲーリングの裏切り"



その言葉は、一番信じたくなかった仮定を事実にかえた。




あいつの言うとおり、人間関係のもつれは、思わぬ大問題に発展するらしい。

今まで、それに向き合ってこなかった、報いだというのか?


「クソ……ッ!!」


信じて、何が悪い?

信頼して、何が悪い。

お人よしだといわれようとも、これが俺の信念だ。

かえるわけにはいかない。かえられない。

だけど……!!


「どうしたらいいんだよ……っ!」

崩れかけた壁に、拳をぶつけた。隣でアルが怯えた顔をする。

予想外の強さで打ったらしく、手が痺れると同時に、指に血が伝うのを感じた。



―― 俺は、これからどう動けばいい?



誰を止めて、誰のところに行けばいい?

誰が敵で、誰が味方なんだ?誰を守り、誰に剣を向ければいい?

誰か、教えろよ。

俺は、どうすればいいんだ……!?

ムカつくくらい綺麗な赤い雫が地面に落ちて、染みを作った。





 
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