リレー小説(その五)

□Knight×Laurentia!
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城を直さなければ、というヒトラー様を、クビツェクが止めた。

思ったより、損壊は少なくてすんだらしい。





少なからず、ほっとした。

俺とヒトラー様の魔力がぶつかったんだ。

修復不可能になるほど壊していたらどうしよう、と思っていた。

かといって、壊れているからといって、この状態のヒトラー様に魔力を使わせるわけにはいかない。

草鹿の騎士には申し訳ないが……もう少し体力が戻ったら、手伝いに行くことにしよう。





クビツェクが、ヒトラー様に布団をかけなおす。

その様子を見ていた。

ヒトラー様はぼうっとしていた。

大丈夫だろうか。

まだ、体調が悪いのか?傷が痛むのか?

でも、違ったみたいで。

"なんでもない"と返されてしまった。



―― 考え事か……?


それなら深く聞くこともあるまい、と俺も自分のベッドに戻ろうと思った。

……そこできづく。




―― ヒトラー様……さっき、いたって普通に俺に触れていなかったか?



おかしい。

いくら魔力が尽きるまで戦ったとはいえ、何の違和感も感じなかったし。

何の苦痛もなく、悪魔が天使に触れることができるものか?

それに、一瞬ならともかく、だいぶ長い時間触れていた……




ブレスレッドで打ち消されたのか?と思って、自分の右手首をみれば。

「……!」

どういうことだ?

俺はブレスレッドを、アルのブレスレッドをつけていなかった。

なおおかしい。

これなしだと、俺は市販のアイテムで触れられただけでも相当の痛みを感じる。

なのにあれだけの力を持つヒトラー様に触れられても平気だった。

どういうこと?



―― って、それどころじゃない。



「ちょ、どこに……!」

記憶をたどる。

ヒトラー様を止めなければと思って、はずした。

天使の姿になって、それで……

気を失う直前、手で触れた。

けど、もったか?ポケットに戻したか?

……記憶にない。



大切なものだから。あれだけは、絶対になくしたくない。




でも、それより先に、何でヒトラー様が俺に触れられたのかを聞くべきか?

どこか悪いのなら、そちらを先に解決すべきだ。




部屋を出るか、ヒトラー様のほうを振り返るか、どっちから行動すべきか悩み、中途半端な動きをしたために、俺は無様に転んだ。

クビツェクとヒトラー様が驚いた声をだすのが聞こえた。



 
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