リレー小説
□Knight×Laurentia!
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「…………」
ルカは考え込む。
ヒトラーが提案した作戦は、あまりにリスキーだ。
自分たちにとって、ではない。
"ヒトラーにとって"だ。
確かに、その作戦であれば、どうにかならないこともない。
このメンバーの中で、氷魔法以外を上手く使いこなせるのは、ヒトラーとフィアだけだ。
しかし、フィアは火竜が苦手。その点を考えると、彼女に頼るわけにも行かない。
それも含め考えると、トップである人間だけでもひきつけてもらえれば、どうにかなるだろう。
ヒトラーの魔力の強さは、魔力を持たないルカでさえ感じ取れるほどのものだった。
長く持たないのが欠点かもしれないが、強いことは事実だろう。
ファッショのムッソリーニがどの程度の実力かわからないが、きっと互角くらいにはやりあえるはずだ。
しかし……彼一人に、そんな橋をわたらせても良いものだろうか……
ルカはヒトラーの瞳を見据える。
彼の瞳にはやはり、怯えはない。
まっすぐな光が、宿っている。
覚悟を決めた目だ。
「ルカ……」
シストが止めたそうな顔をする。
彼は知っている。仲間を失う苦しみを。悲しみを。だからこそ、彼一人にいかせるようなまねはしたくないのだろう。
しかし、ルカはいった。
「わかった。頼むよ、ヒトラー」
―― それは、お前にしか頼めない仕事だから。
とめてはいけない。
覚悟を、決心を鈍らせるようなことをしてはいけない。
彼は"何か"を乗り越えてまで、自分たちを守ろうとしてくれている。
―― 皆に危害を加えるつもりなら……
ルカにとっても、他のメンバーにとっても、その言葉は尊いものだった。
「任せてくれ」
ふっと微笑み、ヒトラーは頷く。ルカはそれに笑顔を返しつつ、でも、と付け足した。
「それはあくまで、最終手段だ。出来うることなら、そうならないことを祈るのみだな」
その場に集まった一同が頷く。
誰も巻き込まないで。
誰も傷つけないで。
それが、彼らの望みであり、最大の目標だ。
―― お前たちが俺たちに牙をむくというのなら、真っ向から、受けてやろうじゃないか。