リレー小説

□Knight×Laurentia!
1ページ/2ページ




「…………」

ルカは考え込む。

ヒトラーが提案した作戦は、あまりにリスキーだ。

自分たちにとって、ではない。

"ヒトラーにとって"だ。






確かに、その作戦であれば、どうにかならないこともない。

このメンバーの中で、氷魔法以外を上手く使いこなせるのは、ヒトラーとフィアだけだ。

しかし、フィアは火竜が苦手。その点を考えると、彼女に頼るわけにも行かない。

それも含め考えると、トップである人間だけでもひきつけてもらえれば、どうにかなるだろう。

ヒトラーの魔力の強さは、魔力を持たないルカでさえ感じ取れるほどのものだった。

長く持たないのが欠点かもしれないが、強いことは事実だろう。

ファッショのムッソリーニがどの程度の実力かわからないが、きっと互角くらいにはやりあえるはずだ。

しかし……彼一人に、そんな橋をわたらせても良いものだろうか……

ルカはヒトラーの瞳を見据える。

彼の瞳にはやはり、怯えはない。

まっすぐな光が、宿っている。

覚悟を決めた目だ。

「ルカ……」

シストが止めたそうな顔をする。

彼は知っている。仲間を失う苦しみを。悲しみを。だからこそ、彼一人にいかせるようなまねはしたくないのだろう。

しかし、ルカはいった。

「わかった。頼むよ、ヒトラー」



―― それは、お前にしか頼めない仕事だから。




とめてはいけない。

覚悟を、決心を鈍らせるようなことをしてはいけない。

彼は"何か"を乗り越えてまで、自分たちを守ろうとしてくれている。



―― 皆に危害を加えるつもりなら……



ルカにとっても、他のメンバーにとっても、その言葉は尊いものだった。





「任せてくれ」

ふっと微笑み、ヒトラーは頷く。ルカはそれに笑顔を返しつつ、でも、と付け足した。

「それはあくまで、最終手段だ。出来うることなら、そうならないことを祈るのみだな」

その場に集まった一同が頷く。

誰も巻き込まないで。

誰も傷つけないで。

それが、彼らの望みであり、最大の目標だ。





―― お前たちが俺たちに牙をむくというのなら、真っ向から、受けてやろうじゃないか。

   





 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ