リレー小説(その二)
□Knight×Laurentia!
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Side フィア
ムッソリーニ殿の相手は、ド=ゴールたちが請け負ってくれるという。
クビツェクはヒトラー様に向かい合っている。
俺たちは、スターリンに。
向かい合ったまま、笑みを浮かべるスターリン。
アルが不安げに俺とスターリンを見比べる。
スターリンは、再び銃を剣に変える。
俺はそれを見て、微笑んだ。
―― 騎士は騎士らしく、剣で勝負、というわけか。
彼にその意志があるかどうか、わからないけれど。
それでも俺はやっぱり嬉しかったよ。
お前が、剣で戦ってくれることにしてくれて。
「アル……下がっていてくれないか」
「え……?」
何を馬鹿な、という顔をするアル。
俺は、アルに微笑をかえす。
「"騎士"の決闘は、一対一で行うものだろう?」
そう。これは"殺し合い"なんかじゃない。
"決闘"だ。
命を懸けたものに違いはないけれど、戦う理由は、全く違う。
"奪うため"の殺し合いじゃない。
"取りもどすため"の決闘なんだ。
アルは、俺の意志を汲んだように、頷いた。
まだ若干腑に落ちないような表情だったけれど、それでも下がってくれたのは……
―― 俺が、"騎士"という仕事に誇りを持っていることを、知ってくれているから。
汚したくないんだ。
俺の"騎士道"を。
スターリンが剣をこちらに向ける。
「さっさとはじめようぜ」
「あぁ。そうだな」
俺も剣を向ける。
視線が絡み合う。
緊張した空気。
まだ、数えるほども斬り合いをしたことはないけれど、それでも。
―― お前の癖は、よくわかっているつもりだ。
これでも、記憶力はいいほうなんだ。
剣を使うとき、人それぞれに癖が出る。
たとえば、ルカは一つ一つのモーションがデカイ。ふとことに上手く飛び込めれば、俺の勝ちだ。
シストはちょっとしたミスが多い。隙を狙って攻撃すれば、勝てる。
スターリン、お前の癖だって、俺はちゃんと知っているよ。
"仲間"だから。