リレー小説(その三)

□Knight×Laurentia!
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Side アル





僕はチアーノさんと竜を倒した。

僕でも、できることはあるんだな、と妙なことを考える。

「ボーっとしてちゃ、駄目ですよー」

チアーノさんが僕に注意を促した。


―― すごいな


元々が火竜使いということもあって、チアーノさんは扱いに慣れている。

実に的確に、竜を蹴散らしていく。

僕はそんな彼が傷を負わないように、フォローしていた。




―― 疲れたな……




だいぶ、魔力を消費してしまった。

こんなに、一気に魔力を使ったのは、久しぶりだから。

いつ振りだろうなぁ。

だめだ。意識を集中しないと。

頭を振って、魔力を集中させようとする。






「アル、大丈夫か?」

不意に聞こえたのは、シストさんの声。

振り向けば、そこには心配そうな顔をしている、シストさんの姿。

チアーノさんをちらりと見て、「味方だよな?」という顔をする。

チアーノさんはこくこくと頷いた。

それを見て、ややほっとした顔をするシストさん。

「フィア……しらねぇ?ルカが、さっきから探してるんだけど」

きょろきょろしながら言うシストさんに、僕は答える。

「あぁ……フィアなら、ヒムラーさんを追っていきました」

「そっか……あいつはあいつでがんばってるってわけだな」

シストさんは、小さく頷いた。

と、きづく。


―― さっきから、シストさん……


「シストさん、右腕……」

「!」

からん、と音を立てて剣をおとすシストさん。

「どうしたんですか?」

きょとんとしてチアーノさんが尋ねる。

「はははっなんでもない、何でもない」

ひらひらと"左手"を振って、シストさんは"左腕"で剣を拾おうとした。

その様子を見て、僕は言う。



「シストさん。左利きじゃないですよね」



僕が指摘すれば、あからさまに動揺するシストさん。

雪狼の騎士の人たちの特徴だ。

素直すぎて、うそをつけない。





 
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