リレー小説(その三)

□Knight×Laurentia!
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Side アル









皆、体力的にも、魔術的にも、精神的にも疲れ果てているのがわかった。

僕も、はっきりいって限界に近い。

いや、もう限界なのかな。

シストさんが、心配そうに僕を覗き込んでいるのが、わかった。



―― ごめんなさい、役に立てなくて。



その言葉を発することさえできなくて。






皆が、これからのことを話し合っている。

ヒムラーさんのところにいって戦わなければならない。

でも、こちらはほとんど全員が疲労している。怪我をしている。

しかも、魔術の相性が悪い。

それに、防御要員がいない。

基本的に、皆攻撃向きなんだ。



―― 有利といえる点がないな



こんな魔術でも、僕なんかの防御でも、ないよりあるほうがいいに決まってる。

だから、

無理してでも、動かなきゃいけないのはわかるけれど、ごめんなさい。

やっぱり、無理だ。

僕は、ぼんやりとその話を聞いていた。







―― くらくらする、意識の中で。




ヒトラー様が、僕の名前を呼んだ。

なんだろう。

そう思っているうちに、ヒトラー様の黒い翼が、黒い魔術が、僕を包んだ。




―― あったかい。



落ち着く、その魔術。

優しくて、暖かいその魔力に包まれているうちに、少しずつ、体が軽くなる。

楽になる。

これなら、動ける。

目を開ければ、優しくて、暖かい顔をした、ヒトラー様がいた。




―― すごい。



改めて、感じる。

悪魔の魔力は、傷つけるだけじゃない。

守るために。

優しい魔力もあるんだと、感じる。

それに。

僕に、魔力をくれたことを、僕は感謝した。



―― これで、僕も戦える。



皆を、守るために。


  
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