リレー小説(その三)

□Knight×Laurentia!
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Side フィア







―― 優しさは、色々あると思う。




ヒトラー様は、俺が知っている中でも、相当なお人よしで、優しい人だ。

何で、俺のことを責めないのか。


―― 俺だったら。



冷静で、いられるだろうか。

誰かの所為で、アルを連れ去られたとしたら。

俺は、その人物を責めずに、こうも優しく声をかけることができるだろうか。



―― ……否、無理だな。



俺は、そこまで人間ができていない。

きっと、あたりちらすだろう。

冷静とか、普段のクールさとか、ぜんぜん思い出さずに。

でも、ヒトラー様はそれをしない。

あくまで冷静に、考えて、行動している。

俺に、あんなにも優しい声をかけて。

まして、彼が彼の仲間からもらった抑制機を、俺に預ける。


"力になれるかもしれない"と。


あぁ、この人は。


―― どこまでも、優しくて、暖かい。


それでいて、この統率力。

今までの、俺たちでは考えられなかった、カリスマ性。





ジェイド様は、あくまで医療担当で、周りに支持を出せるほどのカリスマ性は持ち合わせていないし、

クオン様は風隼がもともと単独任務中心の部隊だからあまりリーダーという雰囲気ではない。

アレク様は勇ましくはあれど、あくまで強行突破型で、作戦云々は二の次というタイプだし、

アンバー様はあくまで裏方の仕事。あまり表で仕事をしない。

ルカはルカで、その性格から仲間に慕われてはいるけれど、しっかり者のリーダーとはお世辞にもいえない気がする。




―― でも、ヒトラー様は。



この騎士団の、すべての部隊の属性を持ち合わせている。

草鹿の優しさを、

風隼の決断力を、

炎豹の勇ましさを、

水兎の頭脳を、

雪狼の仲間同士の絆を、

そして、この騎士団にはないほどの、カリスマ性を。




すごいよ。

すごいよな。

改めて、思う。

そして、決意しなおす。


―― 落ち込んでいる暇があるのなら。


働きで、とりもどすしかない。

ミスをしたなら、次の任務でとりかえす。それ以上の働きをする。

それが、俺たちの鉄則のはずだろう?

そのためには、まずやらなければならないことがある。



 
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