リレー小説(その三)

□Knight×Laurentia!
1ページ/2ページ

Side フィア






暫く、大騒ぎをしている夜鷲のメンバーを見ていた。




―― なんというか、本当に仲がいい。




仲がよくなければ、こんな大それたことは、できないだろうから。

……いや、仲がよくてもこれができるかどうかは、はなはだ怪しいのだけれど。

だって、俺はアルと仲がよいと自負しているが、アルを進んで女装させようとは思わないし……

あぁ、こればかりは、なんというか……人それぞれか。

俺が、アルの頭を撫でるのと、同じような感覚なんだ、きっと。

ヘスの事を見ていると、どうにも俺のパートナーの姉上を思いだす。

シストもよくリボンを髪の毛に結ばれていたな。

あいつの髪は随分と綺麗だから、そうしたくなる気持ちもわからないではないのだが……

本人は相当困っているようだし、あいつは、一応男だ。

今度は、とめてやろうか

……たぶん無理だ。

きっと。ヒトラー様があきらめてされるがままになっているのも、それと同じ理由だろう。











と、そうこうしているうちに、誰かがやってきた。

シュペーアがドアを開ければ、そこに立っていたのはアルで。

アルの手にはたくさんの魔術石のアクセサリーが握られている。

彼のことだ。俺たち全員のぶんを作って持ってきたのだろう。

しかし、この状況を飲み込みきれず、目を白黒させている。

「えっと……」

「アル、深く考えなくて大丈夫だと思う。余興だ、きっと」

ルカがフォローを入れる。

うん、俺も今回に関しては、賛成だ。考えるだけ、無駄だから。

「そ、そうですか……」

アルは納得した顔をして、笑顔を見せた。

こういう純粋なところが、非常にアルらしい。

そして、シュペーアに勧められ、いすに座ると、アルは改めてヒトラー様を見た。

ヒトラー様は、いつの間にやら眠っている。

本当に、よく寝る人だな。

きっと、そこまで体力があるほうではないのだろうから、それを補うためなんだと思うけれど。

アルは、まじまじとその様子を隣で見て、つぶやくようにいう。

「なんというか……本当に、絵になりますね。ヒトラー様は」

ストレートにいうアルに、ルカは噴出していた。

「可愛いでしょ?」

ヘスがアルに笑顔で言う。

アルは困惑しつつも同意していた。

可愛いというか、綺麗というか。

その気持ちはわかるのだけれど、本人は非常に不服だと思うぞ、それ。

とはいえ、アルにツッコミを入れたところで、正直無駄なので、黙っておく。

アルは、心のそこからそう思っているのだから。




 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ