リレー小説(その五)

□Knight×Laurentia!
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Side ルカ





スターリンが、ゲーリングの首筋に剣を突きつける。

ようやく、といった感じではあったけれど、危なげはなかった。

さすが、スターリンだ。

疲弊の色は見えるものの、未だ冷静で、淡々と何故ヒトラーを裏切ったかをはなすよううながす。






ゲーリングは言った。

"あの夜の真実"を、と。

おそらく、ヒトラーの過去のことだ。

俺は、よく知らないけれど、耳を傾けた。

弁解なんざきいても意味がないことは知っているし、聞きたくない。

聞いたら、それを……"裏切り"を認めることになる気がしたから。

だけど。そんな甘えたことはいっていられない。

騎士団一部隊のセラとして、"仲間"が、何故こんなことをしたのか、聞く義務がある。






「…………」

ゲーリングの話を聞いていた。

それは、昔話。

昔、ヒトラーを傷つけた過去の、"真相"。

知りたくない。

知りたくなかった、そんな事実。

知らなければ、ムッソリーニが犯人だということが真実だったなら

きっと、こんなに動揺しないですんだ。

元から、仇討ちなんか考えていなかっただろう。



―― でも。


俺は、静かに話を聞いていた。

静かに。反応もせず。



―― 反応もせず?



それは違うな。

反応"できなかった"だけだ。



―― ……なんだよ。



なんだってんだ。

何故、そんなことをした?

何故……それを、今まで隠してた。





話したくなかったに決まってる。

そんな過去、闇に葬り去りたいであろうことはわかる。

だけど。

だけど!!






「今頃になって、ヒトラーがその事実を知ったら、どれだけ……っ」

ヘスも、ゲーリングも、ヒトラーの仲間だ。

あいつは、ヒトラーは、どれだけ仲間を大切に思っているか……っ

お前らが一番よくわかってるはずだろう?!

怒りと、困惑とがない交ぜになったような感情が、渦巻く。

堅く、こぶしを握って、ゲーリングたちを睨んだ。

「ルカ様、落ち着いてください」

隣で、冷静アルが俺を諌める。





 
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