リレー小説(その五)
□Knight×Laurentia!
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Side フィア
"ヒトラー様が兄だったら"と考えていたことを見られてしまったらしい。
そして、彼にツッコまれて思い出した。
―― そういえば、俺より年下だったな。
ヒトラー様は俺より位も上だし、思慮深いし、大人びているから忘れていた。
決してヒトラー様が老けている、というわけではないのだが……
―― なんというか、安心感?
傍にいると、ほっとするというか。
そういう雰囲気から、弟というよりは、兄という気分になるのだと思う。
……うん、弟、というのは絶対に違う。これは確信に近い。
それにしても、気分を害してしまったなら、申し訳ないな。
謝るべきだろうか?
でも、彼にとってはよくあることらしく、それ以上年齢について何も言わなかった。
この騎士団は年齢に関しても寛大というか、なんというか……年齢の存在を忘れる。
だって、呼び方やら口調は相手の位によって(あるいは仲のよさか)変わるものであって、
年齢で変化するものでもない。
それをいうのであれば、アルは俺と同い年だし、アネットは俺より二つも年上(ルカと同じ)だ。
シストはあれでも俺よりひとつ年上だし……
でも、いまさら敬語を使う気にもならないし、まぁ、いいか。と思う。
というか、うちの騎士団は平均年齢が極端に低いんじゃないか?
一番年上(だったはず)のジェイドさまでさえ、24歳だ。
そもそも、ノトの騎士の中にはまだ十歳に満たない奴もいるし、そもそも俺の従兄は七歳のころにはヴァーチェの騎士だった。
……良くも悪くも、フリーダムな騎士団だ、ここは。
誕生日も聞いた。
初めて、聞いたことだけど、"オリジナル"と誕生日も同じらしい。
当然といえば、当然なのか。
―― 春生まれか……
俺は冬生まれだからな、と思う。
初めて聞いた話。
またひとつ、彼について知ったな、と思う。
こんなたわいのない会話をすることが純粋に楽しいと思った。
楽しい、というのかな。
―― 嬉しい、というほうが近いか。
仲間について知ることは、楽しいことだ、と。俺はそう思っている。
いまだに、パートナーであるシストのことも、親友のアルのこともよく知らないことが多いんだけど。
遠い、遠いこの人のことは特に、知りたいと思っていたから。
吹いた風が、ヒトラー様の黒髪をゆらす。
―― あ、綺麗だな。と思った。
個人的に、黒髪は好きだ。
ことに、黒くて長い髪というのは、美しいと思う。
自分の髪色が薄いというのもあるが、漆黒の髪がゆれている様子は、見ていて絵になると思う。
まぁ、それはヒトラー様の端正な顔立ちもあいまってなのだろうけれど。