リレー小説(その五)

□Knight×Laurentia!
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Side フィア





ヒトラー様はしばらく驚いた顔をしていたけれど、

少しして、"ルカに頼もうかな"といった。

やっぱり、意外だっただろうな。



……普段のルカを見ている限り、そんなことができるとは思わないだろう。


書類整理は苦手ですぐに溜め込むし、

会議と名のつくものをまとめるのが苦手だし(セラの癖に)

お世辞にも、几帳面とはいえないし。



でも、髪弄りに関しての実力は確かだと思うし。

「頼んでおくかな……」

小さく呟くのと同時に、クビツェクがヒトラー様に声をかけた。






心配しあう彼らの姿は、見ていてなんだかほっとする。



―― 互いが互いを心配している。




傷の深さ的にいけば、おそらくクビツェクのほうがひどい。

だけど、包帯の数やら内部的問題で言うのであれば、ヒトラー様のほうが傷はひどかっただろう。

いずれにせよ、二人ともひどい目に合ったことは間違いないな。

……申し訳ない。

もう少し、俺は強さが欲しいよ。





と、その後の話だが。

クビツェクがヒトラー様に"綺麗"という言葉を連発した。

女性扱いするな!と憤慨するヒトラー様だが、クビツェクは動じない。

ごめんなさいヒトラー様。

でも、事実です。

あなたは、とても綺麗なヒトだと思う。




面白いから、しばらくその様子を見ていたのだけれど。



―― 遊んでる。



クビツェクがヒトラー様に言葉をかけるたびに、赤くなるヒトラー様。

俺は思わず笑い出した。

クビツェクは、何をどう考えてもわかってやっている。

ヒトラー様は、クビツェクと一緒にいるときにはこういう姿を見せる。

年相応、というかなんというか。

普段の澄ました様子は影を潜め、どことなく子供っぽい雰囲気を見せる。

その様子を見ていると、なんだかほっとした。



 
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