リレー小説(その五)
□Knight×Laurentia!
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Side フィア
―― び、びっくりした……
不意に寄りかかってきた重みに驚いた。
ぼうっとしていたのもあるし、急な衝撃には誰だって驚くだろう。
方にかかる重みに、そちらを見れば、ヒトラー様が眠っている。
さっきまでしゃべっていた人間が、こうもすんなり眠れるものか、と少し感心にも似た感情がわく。
完全に眠っているヒトラー様を見て、ひとつ溜息をついた。
―― まぁ、仕方ないか……
魔力の過剰消費は、体力の消費に繋がる。
あれだけの魔力を放出した上、怪我だってしている。
生物的に、睡眠をとることで回復しようと思うのは、自然なことか。
……なんて、全部医療従事者のアルの受け売りなんだけど。
クビツェクが謝って、彼をベッドに寝かせた。
―― 熟睡、というのが正解だな。
本当に、よく眠っている。
クビツェクが"赤ん坊みたいだ"といったときには、つい笑ってしまった。
「また怒られるぞ」
なんて、言ったのはいいけれど、俺だって思っている。
―― 確かに、そうかもしれない。
さっきまで、あんなに元気に(?)騒いでいたのに、ここまですんなり眠ってしまうとなると、もう完全に、子供だ。
穏やかな寝顔を眺める。
―― 本当に、綺麗な顔立ちだな。
まつげが長い。閉じられた目も、どこか物憂げで。
……やっぱり、綺麗といわれたり、守りたいといわれるのは、仕方がない気するよ。
仮にも女である俺も、そう思うんだから。
……って、きっと心外だろうな。女にそう思われちゃ。
だけど、事実だ。
怪我させたくないとか、酷い目に遭わせたくないとか、思う。
……今まで、その想いを達成できた試しはないけれど。
なんというか……うん、アルに対して抱く感情に近いかもしれない。
世話を焼いてやりたいというのか、なんと言うか。
―― あれ?これって母性本能に近いってことか……?
「……考えなかったことにしよう」
どうやら、俺も疲れているらしい。