リレー小説(その五)

□Knight×Laurentia!
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Side アル







ヒムラーさんたちが、ゲーリングさんを連れて、帰っていった。

それを止めるだけの力は、この場にいる誰にももう残されていなくて。






「まったく……皆さんそろって無茶するんですから」

僕は、倒れた東条さんの手当てをしていた。

外傷はたいしたことない。

単純に、疲労と魔術の過剰消費かな。

少ししたら、目をさますだろう。





軽く、東条さんに触れながら、魔力を送り込む。

物理的な傷はよほど酷くない限り魔力で解決しないけれど、

魔力の消費に伴う疲弊なら、これで回復するのが一番早い。

意識を集中して魔力を流し込む。

ふと、東条さんの隣のルカ様を見る。

手には包帯。さっき自分で壁を殴った代償。



―― まったく、もう。



混乱というか、困惑というか。

純粋すぎるのも、困り者だ。

ルカ様は、人がよすぎる。

スターリンさんの的確な行動には、感謝している。

とりあえず、おとなしくしてもらってたほうが、安全というか、得策だったかな。

普段なら、僕の麻酔魔法で眠らせるところだけど、今はそっちに魔力使う余裕はないし。








スターリンさんは、僕らから少し離れたところで、通信機を使っていた。

さっき、暫くルカ様の通信機がなってたから、おそらくフィアだろう。

彼ももう魔力を無駄に使わないほうがいいだろうから、あれで連絡してるのは、賢い。

微かに笑みを浮かべつつ、連絡しているスターリンさんを見て、僕はひとつ息をついた。

スターリンさんも、大丈夫かな。

問題ありそうだったら、問答無用で治療するから、いいけどね。





フィアのことを、思う。



―― 早く会いたいな。姿を見たい。声を聞きたい。



僕にとってフィアは、大切な大切なヒト。

フィアと一緒にいると、なんだかほっとするんだよね。

だから、あまり離れてると、不安なのかも。






「東条さん、ありがとうございます……」

眠る彼にそっと呟く。

ヒトラー様と同じ黒髪を、軽くすいた。



―― 僕は、何にもできなかったから。



貴方たちが来てくれて、よかった。

ちゃんとお礼を言いたいから……

「早く起きてくださいね」

小さく呟いて、そっと微笑んだ。

そして、ルカ様を、東条さんを、通信を終えてこちらへ歩いてくるスターリンさんを見て、言った。

「……やっぱり僕、ここの騎士団の人たちが大好きです」






  
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