リレー小説(その六)

□Knight×Laurentia!
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Side アル






クビツェクさんが戻ってきて、彼がどこにいっていたのかを知った。



―― ヒトラー様のためにナッツパイを作りに行ってたのか。



すごいなぁ、と思いながら僕は紅茶を淹れる。

ヒトラー様はすでに食べ始めてるけど。

思わず笑ってしまった。




紅茶の淹れかたはジェイド様に教わって、練習している。



せっかく飲むなら美味しい物を。

大切な人にだすなら尚のこと。



それがジェイド様の教えというか、信念というか。

僕もそう思うから、一生懸命練習してるんだけど……なかなか上達しないなぁ。

でも、誰かのために淹れるものなら、確かにおいしく淹れたいし、

それを喜んでくれる人がいるのなら、がんばって淹れようと思う。

フィアもいつもそうだから。

ルカ様のお母様(つまりフィアの伯母様)がお料理上手で、教えてもらってて、

今でも時々ご飯やおやつを作ってくれる。

お城の料理人さんが作ってくれるご飯も確かにおいしいけれど、僕はフィアが作ってくれるご飯が好きだな。

僕がそういうと、フィアが照れくさそうに笑う顔を見れるから、それが嬉しい。

お料理って、作る側の人も食べる側の人も笑顔になれるからすごいと思う。









「フィアはコーヒーのほうがよかった?」

紅茶のカップをソーサーに乗せてからきづいた。

そういえば、フィアは紅茶よりコーヒー派だっけ。

「いや。今日はコーヒーより紅茶が飲みたいかな……」

「そう?」

ならよかった。

フィアの前にカップを置いてから、クビツェクさんとヒトラー様のところにカップを置きに行く。

タオルでヒトラー様の口元を拭いてあげているクビツェクさんを見て、僕はくすりと笑った。

「はい、紅茶です。ヒトラー様はお砂糖要りますよね?」

二人分のカップとシュガーポットを二人の前において、僕は笑った。





 
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