リレー小説(その七)
□Knight×Laurentia!
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Side シスト
……正直言って、ヒトラー様の話は俺たちにはややこしくて、今一つ理解できなかった。
いや、一応理解はしてるよ。
ただ、やっぱり……俺たちと、スターリンとはおかれてる状況が違うんだな、って。
俺たち、ディアロ城騎士団はあくまでも国を守るための騎士団。
政治を執り行っているのはあくまでも陛下で、国民の期待にせよ不満にせよ一身に背負っているのは彼女。
それをスターリンが背負っているわけか。
……挙句、俺たちの国と親しくしたり、こうして何度も行ったり来たりしていることでその状況を悪化させてしまっているのだとしたら。
―― 申し訳ない、としか言えない。
俺たちはこうしてここにいることしかできない。
あいつの国の状況を知ることも、あいつのために何かできるわけでもない。
下手に手を出したところで、有難迷惑だ。
それが果てしなく申し訳ない。
スターリンがここにいないでずっと自分の国にいればよかった?
ずっと、俺たちの国との対立を続けていればよかった?
そうすればきっと、今のような状況にはならなかっただろう。
でも、それは……してほしくなかった。
我儘だってわかってる。
我儘なんかすっとおり越して、迷惑以外の何物でもないだろう。
―― でも、今更、突き放すことも……出来ない。
「はぁ……」
溜息しか、でなかった。
「……とにかく、スターリンがある程度復活するまでは待たなければならない、ということですね」
フィアが小さく言って、ヒトラー様が頷く。
だけど、スターリンがちゃんと動けるようになるまで、ってどれくらいかかるんだ?
あまり、長い時間待つことはきっとできないだろう。
ヒトラー様の言うとおり、国のトップが長期間国を留守にするわけにはいかないだろうし。
かといって、ジェイド様の制止を振り切って連れて行くのも、ただの馬鹿だ。
「ジェイド様、この状態からまともに回復するのにはどれくらいかかるんですか?」
俺が尋ねると、ジェイド様は少し考え込んでから、答えた。
「彼の精神力と治癒力にもよりますが……普段通りに動けるようになるには、相当の時間を要するでしょうね。
完全でなくとも、国に返すことを許せるレベルになるにも、丸一日はおとなしくしていてもらわなくては……
それも、あくまで国に帰るだけなら、という話です。
戦ったりするのであれば、もう少し回復しなくては、返り討ちにあうだけでしょうね」
それも僕の推測ですけどね、と付け足す。
一日か。
短いようで長いぞ、それは。