短編

□51.寄り添う
1ページ/1ページ





季節の変わり目というのは実に厄介だと思う。

夏の暑い日がずっと続いていて暑いなぁなんて呑気に考えていたのに急に寒くなったりして…。

急激な気温の変化に対応できてない私の身体は朝からくしゃみが出る。

その度に主税が喉の奥で笑っていてとっても悔しい。




「名無しさん大丈夫か?」

「平気。主税こそよくそんな格好で風邪引かないね」

そんな格好とは半袖に膝丈のズボンのことで、気温が20度近いのによくそんな寒い格好が出来るものだと私は思う。


寒がり、冷え症の私は長袖のパーカーにスキニーデニムという機能性重視の格好だ。



「なんか名無しさんモコモコしてる…」

「…寒いの」

「じゃあもっとこっち来いよ」
主税は私の手を引いて自分の方へと引き寄せた。

「わっ!!…びっくりした!」

主税は近くにあったブランケットを取って自分の身体ごと名無しさんを包んだ。


「ほら、あったけぇだろ?」

「うん…」


寄り添う









(すー…)
(頼むからそんな無防備に寝るな…)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ