お話

□はじまり
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(チッ、また見てんのかよ)
リクエストボード前で仕事を物色していたガジルは、最近やたらとまとわりつく視線を感じていた。
幽鬼の支配者からやってきたこの滅竜魔道士はかつてこの妖精の尻尾に対して、あまりにも多くのダメージを与えていた。
恨まれる覚えは山ほどあった。
中でも最大級なのは、その視線の先にいる彼女へのものだった。
(まぁ恨まれンのは慣れてるからな)
なるべく近寄らないようにしているつもりだった。だがこの日、気付くと彼女は隣に立っていた。
「何か気に入った仕事あった?」
しかも話しかけてきた。
「ア?いや、今日はねェな」
そう答えて立ち去ろうと歩き出した。
ギルドを出て通りをしばらく歩いたが、彼女はずっと後をついて来ている。
「いつまでついて来る気だ?」
とうとうたまりかねて問いかけた。
すると彼女ははっとして答えた。
「ごめん、…ちょっと話できるかなって」
「?話すことなんかねェな」
言われて、少し考えてから彼女はガジルの瞳をまっすぐ見て言った。
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