三空ラバーズに39のお題

□08.デッド・オア・アライブ
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あぁ、何て運の悪い。

背中に温かな体温を感じながら思ったことは、この最悪の状況からどう脱するかだった。
狭い路地に入り込んで、そこで気配を消して座り込む。
少しでも乱れた息を整えて、次に飛び出していくチャンスを伺う。
背後にいる人も、きっと同じことを考えている。
もうすぐ、追っ手も近くまで来てしまうはずだ。

「おい、あと弾何発残ってる?」
「…………あと、予備入れて7発。三蔵は?」
「……残り、3発だな」

自分よりも、後ろの人のほうがピンチみたいだ。
違うタイプの拳銃を使っているため、銃弾を渡すことも出来ない。
ふぅっと息を吐き出して、殊更体重を後ろの背中に掛けた。

「もしかしなくても、俺たちって絶体絶命?」
「かもな。ヤツラの数、あと何人かわかるか?」
「えっと………たぶん、5人かな。最初に15人くらいいたから、10は減ったと思うし」
「テキトウだな」
「それしかわかんないし」

声が、背中から振動を伝えてくる。
こんなピンチな状況で、それでも後ろの人が側にいることが嬉しくてつい顔が緩んでしまう。

もう、なんでこんなに好きなんだろう。

普通、こんな状況ならば命の危険を心配するだろう。
そりゃあ、心配はかなりしている。
どうすれば追っ手から逃げきれるのか、どうすれば二人無事で家に帰ることが出来るのか。
けれどもそんな考えの中、二人一緒ならここで死んじゃってもいいかな、というのも浮かんでくる。

すごく、末期だと思う。



 
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