三空ラバーズに39のお題

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大学での爆破事件が起こってから、もう1週間近くになる。
明日から大学が講義を復帰させるということであり、悟空にとって普段なら休みがあって嬉しいところも不必要な外出禁止命令を出されている今の状態では、早く大学が始まって外に出られることが待ち遠しくてたまらない。
夕飯を食べ終えて後は眠くなるまで時間を潰すという状況の中、悟空の携帯電話が着信を告げる。
明日から大学が再開されるし、大学の友人がかけてきたのだろうと思って携帯の液晶画面を開いた悟空であったが、そこに表示された非通知設定という文字に、首を傾げる。
携帯は悟空が電話で出るまで鳴り止む気配がなく、悟空は仕方なく通話ボタンを押した。

「もしもし?」
「孫悟空、だね」

相手の声を聞いた瞬間、悟空の背筋に緊張が走った。
携帯越しに聞こえてきたその声は、明らかに機械を使って声色を変えていたからだ。

「アンタ、誰だよ」
「そうだね……。昔流行ったゲームにあやかって、ボンバーマンとでも名乗っておこうか」

相手が名乗る名前に、悟空は急に心臓の鼓動がドクドクと早鐘を打ち出したのがわかった。
ボンバーマンというのは昔に大流行したテレビゲームで、プレイヤーが操作するキャラクターが、敵や壁の近くに爆弾を仕掛けてゲームをクリアしていくというものである。
悟空も小さい頃に、そのゲームで遊んだ記憶がある。
そう、そのゲームは爆弾を使う。

「キミの年頃だと、ボンバーマン知らないかな?」
「そんなこと関係ねぇよっ!あんたがっ、大学に爆弾仕掛けたのかっ!?」

もう、悟空にはわかりきっていた。
明日から大学が再開されるというタイミングでの電話や相手の言葉から、電話の向こうの相手こそが大学に爆弾を仕掛けた犯人だということが。

「ああ、ボンバーマン知ってたみたいで嬉しいよ。キミの言うとおり、大学に爆弾仕掛けたのはボクだよ。メッセージも、ちゃんと伝わったかな?」
「あんなことして、何が楽しいんだっ!アンタ、何がしたいんだよ!!」

悟空の叫ぶような言葉に、電話の向こうからクスクスという笑い声が聞こえてきた。

「ちゃんと、キミにメッセージ残したよね?キミの力、見せてもらうよって。セントラルタワーに仕掛けた爆弾、解除したのキミだよね?」

その言葉に、悟空は無言のままでいる。

「あの爆弾、ボクの自信作だったんだけどな。警視庁の爆弾処理班のすごい人、つまりはキミのお父さんが入院中だったから、チャンスだと思って仕掛けてみたんだけど。すると、急にキミみたいな子が出てきて、ボクの自信作を解除しちゃったじゃないか」

電話の向こうから、さも楽しそうな声が聞こえてくる。

「そしたら、知りたくなるだろ?ボクとキミ、どっちのほうが力が上なのかって」
「そんなことで大学爆破したのかよ!!誰か死んでたらどうするんだ!!」

悟空の荒げた口調とは反対に、相手は淡々とした口調で話す。

「ボクとしては、怪我人すら出なかったのが予想外だったけどね。案外、大学生ってみんなマジメに授業出てるんだね」

その言葉に、悟空はゾクリと背筋が凍りつくのを感じた。
この相手は、死人が出ようが怪我人が出ようが、まったく関係ないと言っているのだ。
携帯電話を持つ悟空の手が、わなわなと震える。

 
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