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□Between the sheets Part2
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「チャンソン、お疲れ!」

休憩中に突然カメラマンさんに声を掛けられた俺は驚いて顔を上げた


「最近、ますます男の色気が出てきたんじゃないか…?

おかげで今日もすごくいいのが撮れたよ!」


そう言いながら俺の肩を叩いた

彼は俺達の専属のカメラマンだ

俺達がデビューする前から知っているからずいぶんと気心も知れていて、頼れる兄貴のような存在だ


「ありがとうございます…!」


そうは言ったものの、俺にはまったく身に覚えがなかった


「仕事も恋愛も絶好調なんだな、きっと!」


そう言ってガハハと大口を開けて笑った


「そんな…仕事はお陰様で忙しいですけど、恋愛なんて全然ですよ…?」


ため息と共に俺は言った


「なんだよ、若いくせに…!

いい恋愛してなかったらあんな色気出せるわけないだろ…?

俺の目は節穴じゃないからな!」


そう言って俺の脇腹をつついた


「本当ですよ…!恋愛なんて…」


それを聞くとカメラマンはニヤリと笑った


「楽しくて、ワクワクするような恋愛だけがいい恋愛じゃないだろ…?

つらく、苦しい恋だって自分を成長させてくれるいい恋愛なんだから…」


俺はふと名無しさんさんの顔を思い浮かべていた


名無しさんさんは今どこで何をしているのだろうか

名前しか知らない彼女は俺の事などすっかり忘れてしまっているのだろうか

俺達の間には恋愛などと呼べるものは何一つなかったけれど最後に見た名無しさんさんの寂しそうな笑顔が今でも忘れられない


少なくとも名無しさんさんの中では俺はきっと取り替えのきくうちの一人だったのかもしれない…


突然終わりを迎えたあの夜から早いものでもう3カ月が過ぎた

けれど俺は一度も自分から連絡する事は出来なかった

俺の携帯には変わらず名無しさんさんの番号は入れてあったけどあれから一度も名無しさんさんの名前が表示された事もなかった


何度も俺からかけようかと悩んだが結局今日まで出来ずに来てしまった

最後の望みは消したくない…きっと俺はそんな風に考えていたんだ




実はこの3ヶ月の間、俺は二回ほど日本へ仕事で出向いていた

きっとテレビや何かで俺が来ている事を知れば、また連絡が来るかもしれない…そんな風に俺は思っていた

けれど連絡が来る訳でもなかったし、もちろん俺が名無しさんさんを見つけられるはずもなかった

この三ヶ月間、名無しさんさんを忘れた事はなかったけれどそれがどういう意味を持つのかは自分でもよく分からない



好きだとか、愛してるとかそんな風に簡単に表現できたら俺の気持ちも少しは晴れるのだろうか…?


そんな風に俺は名無しさんさんのいない三ヶ月間を過ごしてきたんだ
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