BOOK

□君が好き
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どうして君はいつも俺の視線を奪うの?
なのにいつも俺をからかって

俺の事、男として見てくれてるのかさえ分からないよ…

チャンソンにはあんな笑顔見せるくせに……!


「ジュノッ!聞いてるっ!?チャンソンがね…」


ほら、またチャンソンの話ばっかり…

俺だっていつまで我慢出来るか分からないよ…


「名無しさんさ…俺とチャンソン、どっちが好き…?」


俺はもう何回も同じ台詞を言ってる


「もう、ジュノ…
何回も言ってるでしょ…?

二人とも大好きだよ?」


この答えももう聞き飽きた

俺がこんなにも名無しさんが大好きだって事、早く伝えたいのに


でも俺はいつも名無しさんの笑顔を見ると弱気になってしまう

その笑顔さえ見られなくなったら…

そう思ったら何も出来なくなってしまうんだ


いつからかチャンソンも名無しさんが好きなんだと気付いた

そんなのチャンソンを見てれば分かる

でもチャンソンも俺もまるで見えない糸でも張り巡らしたようにお互いが名無しさんに一定の距離を置いていた


だから今まで何とか三人のバランスを保ってられた

それなのにある日突然俺達の関係を揺るがす大事件が起きた


「ジュノ…どうしよう…!」


今にも泣きだしそうな顔で名無しさんは言った

いつも元気な名無しさんが元気がないと不安になる


「どうした?
食い過ぎで体重増えちゃったとか?」


俺は不安を打ち消すようにふざけて言った


「ジュノ…
私…チャンソンに好きだって言われたの…」



俺は絶句した

まさか、うそだろ…!?


「それで…?」


「付き合ってほしいって…」


俺は今にも心臓が爆発しそうだった


「ねぇ…ジュノ、どうしよう…?」


そう言って潤んだ瞳で俺を見つめた


「どうって…?」


どうしてそんな事俺に聞くんだよ?
そんなに潤んだ瞳でチャンソンの話して…

俺にどうしろと…?


「チャンソンの事好きなんだろ…?
だったらOKすれば…?」


何言ってるんだ俺は?
おかしいだろ、こんなの…


俺は頭がおかしくなりそうだった


「でも……」


はっきりしない名無しさんの態度に俺はもっと名無しさんを困らせてやりたくなった


「俺も名無しさんの事好きだって言ったら…もっと困るんだろうな…?」


名無しさんの肩を抱き寄せ、とうとう俺は言ってやった


「何言ってるのジュノ…

こんな時に冗談言わないで」


そう言って俺の告白は軽くあしらわれてしまった

チャンソンのはそんな真剣な顔して悩むのに俺の告白は冗談扱いかよ…?


でも今さら引き下がるわけにもいかないんだ…!


「ずっと名無しさんが好きだった…

ずっとお前だけを見てたんだよ…!

気付けよ、バカ…!」


俺は思わず名無しさんを腕の中に抱きしめてしまった
名無しさんの温度が俺の胸を切なく焦がした


「ジュノ…

お願い、離して…」


そう言って俺の腕の中で名無しさんは小さく震えていた


「そんなに俺の事嫌い…?」


俺は抱きしめていた手をそっと緩めた


「違うの…嫌いなんかじゃないよ…!

でもチャンソンもジュノもどっちも大切な人なの…」


そう言って上目遣いで俺を見上げた


どうしてこんなめんどくさい奴、好きになっちゃったんだろうな

俺は思わず笑ってしまった


「じゃあさ、こういうのはどう…?



……三人で付き合ってみる…?」



もうどうにでもなれ…!!そんなやけくそな気分に俺はなっていた……
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