BOOK

□痺れる舌
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洋食と和食は私

韓国料理はチャンソン


これが私達の暗黙のルール


何がって?


それは料理を作る時の当番の話

ハンバーグやパスタを作るのは私で

チゲやチヂミを作るのはチャンソンの担当


「出来たよ〜!」


エプロンを窮屈そうに着ているチャンソンが得意げに料理を並べる


「おいしそう〜!!」


今日の担当はチャンソン

何気にチャンソンは料理が上手

食べるのが好きな人は作るのも上手って聞いた事あるし


「今日はチヂミとビビン麺だよ」


暑い今日はチャンソンに冷たい麺をリクエスト


「食べよ食べよ!」

「このビビン麺結構辛そうな色してるね…?」


私は箸で麺を持ち上げるとチャンソンに訪ねた


「だって冷たくて辛いのがいいって言ったから…でもそんなに辛くないよ?」


そう言ってチャンソンはにっこりと微笑んだ


「そう?じゃあ…いただきま〜す!」


実は私は辛いのが大好き

だから韓国料理も大好きだけどさすがにチャンソンとは辛さのレベルが違いすぎる


だからチャンソンの“辛くない”はちょっと心配なんだけど…

けれど私はその美味しそうな色と香りに思わず口いっぱいにほおばった


「ん、美味しい!」


調子に乗って食べていると突然辛みが私を襲った

そしてそれは次第に痛みへと変わる程の辛さになった


「辛い〜!あとから来る〜!」


私は思わず涙目になってチャンソンに訴えた


「ごめんっ…!また調節間違えた」


そう言って慌てて水を差し出した


「痛い…!唇も舌も口の中が痺れてマヒしてるみたい…」


でも、もっと食べたい…

辛いと言いながらもついついクセになる

どうして辛いものってこんなにクセになるんだろう

なんだかんだ言いながらも私は結局食べきってしまった


「美味しかった〜!けど辛かった〜!
口が痺れて変になっちゃった…」


そう言って水を飲み干した


「ごめんね…?でも美味しかったでしょ?」


そう言っていたずらっぽく笑うと前髪を揺らした


「でも口の痺れが治らない!
どうしたら早く治るの〜?」


するとチャンソンは予告もなく突然私にキスをした


「チャンソンッ…?」

驚く私を気にもしないでチャンソンは言う


「別の刺激を与えたら辛さが和らぐかなぁって」


チャンソンはそう言ってまたすぐに私の唇を塞いだ

今度は深く深く私の中を確かめるように甘く激しく刺激する


辛くて痛い位に痺れていたのに今は甘くて痺れるなんて

頭がおかしくなりそう


「ん…っ、はぁっ…」


私はチャンソンの甘く絡みつくような刺激にたまらず声を漏らしてしまう


するとチャンソンはやっと唇を離すと私を見つめ妖しく笑った


「なんだ…マヒしてないじゃん…!」


チャンソンは意地悪に笑うと私の唇をそっと指でなぞった


「あぁっ…!」


チャンソンの優しくなぞる指に呼応するように私の身体は大きく波打つ


「刺激は…慣れるともっと強い刺激が欲しくなる…

そうでしょ…?」


チャンソンの息遣いを首筋で感じながら今にも溶けてしまいそうな身体を持て余す


「名無しさん…もっともっと刺激が欲しい…?」


チャンソンは焦らすように私を甘噛みしながらそっと囁いた

「チャン…ソンの…意地悪…!!」


チャンソンの重みを感じる度に禁断の刺激が私の身体中に押し寄せる


「もっと俺にクセになってよ…

もう俺なしじゃ生きられないくらいに」


気が狂いそうになるほど敏感にされた私の身体をチャンソンの指が休む事を許してくれない


「もう…とっくになってる…!
チャンソン中毒になっちゃったんだから…責任とってっ…!」

痺れる身体のすべてをチャンソンに預けて私は全身でこの刺激を受け止める


「チャンソンは…?
チャンソンは…ちゃんと私にクセになってる…?」


心配になった私は思わずチャンソンにしがみついて弱音を吐く

そんな私の頬を優しくひとなでするとチャンソンは微笑んだ


「当たり前だろ…?

それに名無しさんより俺の方が重症だよ…?」


そう言って私をきつく抱きしめた


「名無しさん、今度はもっと辛くて美味しいの作ってあげるから…!」


そう言ってチャンソンは私と唇をひとつにした



もうこれからはチャンソンがどんなに辛いの作ったって私は平気だよ

だってその後はどんなデザートにも負けない甘い甘い刺激で私を満たしてくれるって分かったから…



〜END〜

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