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□旅行
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「よしっ!」


私は無意識に気合いを入れていた

いい歳して初めてでもあるまいし、と私は思った


全部チャンソンのせいだよ!


私は急に訳の判らない怒りがこみ上げてきた

今までの元カレ達にもこんなにじらした事なかったけどチャンソンは違う!


あんなに全て兼ね備えてコンプレックスなんてなさそうな人にどのツラ下げて…いや、どの身体さげてお手合わせ願おうというのだ


私はまた決心が揺らいだ


「名無しさん…準備出来た…?」


扉の向こうからチャンソンの呼ぶ声が聞こえた。


「向こうで待ってるよ…」


いよいよだ…
もう後には退けない…


もう頭の中は緊張で
おかしくなりそうだった

お風呂に入った後にメイクしてたら変かな…なんて下らない考えは一気に吹き飛んでいた


扉を開くと痛い程チャンソンの視線が私を攻撃した


「そんなに見ないで…

やっぱり…変…?」


私は浴衣の胸元を押さえながら言った


「名無しさん…」


そう言って私にふいにキスをしたチャンソンは小さく震えているようだった


「俺…すごい緊張してる…ほら…!」


私の手をとってチャンソンが自分の心臓へと導いた

はだけたチャンソンの胸元に直接手のひらが触れると熱い体温と心臓の激しい高鳴りに私はドキドキした


「名無しさん…愛してる…」


お互いの唇が重なり一度、二度と繰り返す度に更に深く口づけを交わす

深く舌を絡ませると私はチャンソンとひとつに溶け合う感覚を覚えて身体中の力が抜けた

チャンソンは私を布団に優しく座らせると帯に手をかけあっという間にほどいてしまった

するとあっという間に私の身体が露わになり私は思わず身体を隠した


「あっ…だめ…!」


「隠さないで…全部見せて…!」


チャンソンが甘い声で囁くとすべてを委ねてしまいそうになる

でも…!


「ねっ…ねぇ!服脱がなくても出来るよね?」


私は思わず口走ってしまった


「名無しさん…すごいエロい事言ってるって分かってる…?」


言われて私は赤面した


何を言ってるんだ私は…!

私はこの場から逃げてしまいたかった


「あのさ…もしかしてずっと拒んでたのって…これが理由…?」


「そうだよ!何かおかしいっ!?」


するとチャンソンがたちまち大笑いした


「笑い事じゃないわよ! 私にとっては大きな問題なのっ!」


あまりにも大笑いするチャンソンに腹が立って私はすねた


「ごめんごめん…!
そんなに気にする事ないと思って…」


「それはチャンソンだから言えるの!
私なんか全然色気ないし、胸だって小さいし足は太いし…」


自分で言ってて情けなくなってきた…


「俺だってコンプレックスなんていっぱいあるよ…?

それに…色気は俺が持ってるからいいでしょ…?」


いたずらっぽく言って笑うと私を強く引き寄せ抱きしめた


「うそ…!
ほんとは名無しさんが色っぽすぎて俺さっきからドキドキしっぱなしだよ…?」


そう言って私を静かに布団に寝かせると身体に巻き付いている浴衣をゆっくりと剥ぎ取った…
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