BOOK

□Between the sheets Part4
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「もし、あなたが逆の立場だったら素直に別れるのかしら…?」


なるべく平常心を保ちながら私は言った


「チャンソンは…今すごく大事な時期なの…

日本での活動も軌道にのって来てる…

なのにあんたといたらチャンソンはいつか後悔する事になる…だから…!」



さっきまでの荒々しさはなくなって真剣な眼差しで真っすぐに私をみつめている


きっとこの子は本気でチャンソンの事が好きなんだ…


そう思った

じゃなかったらこんな所まで押しかけて来たりしない


けれどこの子は私とチャンソンの事をどこまで知っているのだろうかと脳裏をよぎった


もし夫の事まで知っているとしたら…


私は目の前が真っ暗になった


「それは私もよく分かってるつもりよ…

だけど、あなたに私達の事を決める事は出来ないはずよ…?」


出来るだけ穏やかに言うよう私は努力していた

この子だってきっと一生懸命なのだ

自分にそう言い聞かせた


「私の方がチャンソンを愛してる…!きっと私の所に帰ってきてくれる…!」


そう言い残して彼女は帰っていった


私は身体中の重りを外したようにベッドに座り込んだ

いつまでもおさまらない胸の高鳴りが私を一層不安にさせた


チャンソンには絶対秘密にしなくちゃ…

このホテルももう使えない…


とりとめのない考えが頭の中を回っていた

何度も呪文の様に繰り返しても

いくら考えても私の心が晴れる事はなかった


あの子の真っすぐな瞳が目に焼き付いて離れなかったから


私はきっと羨ましかったのだ


純粋にただ真っすぐに

心の赴くままに好きと言えるあの子の事が…



チャンソンへの愛は誰にも負けない自信がある

それどころかチャンソンを想う気持ちは日に日に増してゆく


それなのに

愛しているのにいつも不安がつきまとう



人に言えないような関係の私達はやっぱり幸せにはなれないのだろうか…?

こんな矛盾した気持ちのままでこの先チャンソンと一緒にいる事が出来るのだろうか……?


私は一人ベッドの上で自問自答を繰り返していた…
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