BOOK

□ヌナの事情
2ページ/2ページ


チャンソンの眼差しに耐えきれなくなった私は視線を外した


「ヌナどうしたの…?俺の事嫌いになったの…?」


不安そうな眼差しで私を見つめる


お願い

そんな目で見つめないで

これ以上私を苦しめないで

いっその事、嫌いって言えたらどんなに楽か…チャンソンには分からないでしょ…?


私はチャンソンの問いには答えずに唇をかんでうつむいた



困らせるつもりなんてなかったのに

チャンソンの好きなオムライスを2人で一緒に食べられるだけで良かったのに


困らせてごめんね…


「じゃあ名無しさん…って呼んでもいいの…?」


何も言わない私にしびれをきらしたチャンソンが詰め寄る

苦しくて息が止まりそうで胸が痛い


「名無しさんは俺の事弟みたいに思ってるんでしょ…?」


チャンソンがもっと距離を縮めるといつの間にか私は大きくて温かい胸に包まれていた


「こんな事したら名無しさんは困るんでしょ…?」


そう言うと遠慮がちに包んでいた私の身体をぎゅっと抱きしめるとチャンソンの胸に深く包み込んだ


「何か言って…?
何も言ってくれないと…もうガマン出来なくなる…」


そう言うとチャンソンはためらいながら私にそっと唇を重ねた


「弟がこんな事したらいけないよね…?」


唇を離したチャンソンは切なそうに瞳を揺らすと小さく笑った


「私は…チャンソンを弟だなんて思った事一度もないよ…?」

するとチャンソンは大きな目をもっと大きくして私を見つめた


「じゃあ、弟じゃないなら…どう思ってるの?」


その問いに私は考える間もなく引き寄せられるようにチャンソンの唇に自分の唇を重ねていた

熱い唇の感触を感じながら夢中でチャンソンの背中に腕をまわす

チャンソンの身体が微かに震えると私をきつく抱きしめ二人の鼓動がひとつに重なった


「ずっと好きだった…!」


チャンソンはそう言って深く唇を重ねて私のすべてを満たした


「ずっと弟としか見られてないのかと思ってたよ」


唇を離したチャンソンは熱く潤んだ瞳で私を見つめた


「私だって…ヌナとしか思われてないと思ってた」


そう言って小さく笑った


「じゃあ…もう弟を演じる必要ないんだね」


チャンソンは急に私を抱き上げると妖艶な瞳で見つめ微笑んだ


「ちょっ…と…チャンソン?」


驚いてあたふたする私をチャンソンは楽しそうに眺めている


「チャンソン、降ろして!!」

「やだよ〜!」


私を抱き上げたまま楽しそうにチャンソンは笑う


「こら!お姉様をからかうんじゃないのっ!」


手も足も出せない私は意地になって年上の威厳を見せたつもりなのに


「あれ…?ヌナって言ってもいいの?」


そう言って意地悪な笑顔で私をいじめる


「も〜この性悪マンネ!私が教育し直してあげるから覚悟しなさい!!」


形勢逆転を狙った私をチャンソンは軽くベッドに放り投げた


「じゃあ俺はマンネ なだけじゃないってとこ、たっぷり教えてあげるから覚悟してね…?」


そう言ってすかさず上に被さって私の自由を奪った


「チャンソン…ちょっと、冗談でしょ…?」


どうやら冗談では済みそうにないチャンソンの目に私は青ざめた


「名無しさんもヌナらしいとこ見せてよ…さっきからまるで女の子みたいだよ?」


私を見下ろしながら意地悪に笑う


「私はいつだって女の子ですけどっ!?」


ダメだ

完全にチャンソンのペースにはめられてる

初めからこんなんじゃ先が思いやられる


今こそ

今こそヌナとしての威厳を見せなければ!


「わかった…じゃあ今から見せてあげる…!」


驚くチャンソンを勢い良く反転させて今度は私がチャンソンの上になった


「目…閉じて…」


顔を近づけてそっと囁くとチャンソンは素直に目を閉じた


「痛っ!!」


私はかわいい顔にキスしたい衝動をガマンして鼻をつまんでやった


「だますなんてひどいよ!」


そう言ってチャンソンは悔しそうな顔で訴えた


「どう?お姉様らしいとこ、見せてあげたよ?」


得意げに鼻を鳴らすとチャンソンは私の両腕を勢い良くつかんだ


「ヌナ〜!!もうただじゃおかないから…!」


そう言って再び私をあっという間に組み敷く


ダメだ

やっぱりチャンソンには勝てそうにない


でもいつか必ずヌナの威厳を見せつけてあげるから覚悟して


それまではたっぷりマンネの魅力を堪能してあげるから…!



〜END〜
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ