BOOK

□マンネの特権
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「名無しさんヌナが欲しい…もう我慢できないよ…!」


いつだって僕の方がヌナを必要としてて

いつだって僕のほうがヌナを愛してる

だから知ってるんだ

本当に翻弄されてるのは僕の方だって事


ヌナの白い指が僕の肌を滑るように這う

それだけで僕の胸は熱く高鳴ってますますヌナが欲しくてたまらなくなる


ヌナは知ってるんでしょ…?

僕がどんなにヌナを愛してるか

僕がどんなにヌナを必要としてるか…


それでも僕をこうやっていじめる悪いヌナ

だけどそんなヌナの全部が大好きだからきっと僕はヌナには勝てない


「…ずっと私だけのチャンソンでいて…!」


そう言うとヌナは僕のすべてを受け入れて包み込む


「名無しさんヌナ…僕はいつでもヌナのものだよ…?」


不安そうなヌナの顔を見ると僕まで不安になってしまう


「でも…やっぱり怖いの」


震える声でそう言って僕をきつく抱きしめると更に僕を深く飲みこむ


ヌナは恍惚の表情を浮かべながら切なく瞳を揺らした

ヌナの切ない気持ちと快感とが混ざり合って僕の中を突き抜ける


ヌナがそんな事思ってたなんて少しも気付かなかった


だって

愛してるのは

必要としてるのは


いつだって僕の方のはずでしょ…?


「チャンソン…チャンソン…!」


切ない位に僕を求めて何度も僕の名前を呼ぶ

僕をこんなにも欲しがる可愛いヌナ


こんなに愛したのはただ一人、ヌナだけだよ


そう伝えたいのにうまく言えなくて悔しくて胸が苦しい


「名無しさんヌナを好きすぎておかしくなりそうだよ」


伝えきれないヌナへの想いをヌナの身体の隅々にまで刻み込むように愛す


ヌナが震える手で僕にしがみついて熱い吐息を漏らす

「チャン…ソン…もう…だめ…!」


汗を滲ませ声を震わせながらヌナが今にものぼりつめようとしている


「名無しさんヌナ…!」


世界一大好きなヌナを独り占めできる瞬間

最高に満たされる瞬間


「名無しさんヌナ…受け止めて…!」


ヌナのあたたかい胸に痺れた身体を委ねると僕の頭を優しく撫でた



ねぇ、ヌナ…?


僕達はきっと似たもの同士


マンネな僕だって

ヌナな名無しさんだって

きっと意味なんてなくて

ただ愛しくて必要で

時には不安に心痛めて

それでもずっと一緒にいたい

そう思える愛しい人


だから

僕は愛を込めてこう呼ぶんだ


「ヌナ…!

大好きだよ…!!」




〜END〜
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