Dream【3】
□お月見
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「わぁ♪月が綺麗〜」
縁側に座って夜空を見上げた。空には大きな満月。夜だというのにとても明るいのはこのせいか。
「なんだか吸い込まれそう…」
そんな感覚に襲われ無意識に手を伸ばしていた。
「……何やってんだよι」
「ぁ、恋次…ι」
声の方を向くとお団子を持った恋次が呆れた顔で私を見下ろしていた。
「さすがは十五夜だね。手を伸ばしたら届きそうな感じがするよね」
「そうか?確かにでけぇけどよ」
「夢がないなぁ」
恋次が持ってきたお団子を1つ食べてからまた空を見上げた。
「………」
なんでこんなにも目が離せないんだろう。
――ギュッ
「…恋次?」
「………」
恋次がいきなり私を腕の中に収めた。不思議に思って恋次の顔を見ようと覗き込めば少し真剣な表情の恋次。
「恋次?」
「…お前が月に行っちまうような気がした」
小さく呟いたその言葉に驚きつつも私は恋次の背中に腕を廻して囁く。
「クスッ…大丈夫だよ!恋次ってば案外可愛い事言うんだね」
「狽ネっ!?///変な事言ってんじゃねぇよ!それに可愛いっつーなら……狽チ////」
何かを言いかけてそっぽを向いてしまった恋次。
「可愛いっていうなら?」
「な、なんでもねぇよ!!////」
「恋次ってば顔赤いよ?」
「うるせー///」
「ふふふ♪」
月光のおかげで見れた照れた恋次に顔がほころぶ。
トン、と恋次の肩に頭を預けて私は再び月を眺めた。こんな時間がすごく幸せ。
次の十五夜も恋次とこうして見れたらいいな…
「(普段は可愛いうえに月を見てる姿がすげぇ綺麗で不覚にも見とれちまった。何処にも行かせねぇ、誰にもやらねぇって思ったら体が勝手に抱きしめていた。
…お前は俺のもんだ)」
END