戦国

□馬鹿の背くらべ
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  -馬鹿の背くらべ-








  「もう春、か…」


 そう言って外を
 眺める三成。



 淡い桃色の花々が
 鮮やかに風景を彩
 っていて、なんとも…


  「美しい…」



 「『美しい…』
 ってみ・つ・な・り
 ったら大胆ねぇん!」


  「…失せろ馬鹿、」


  せっかく風景を
  楽しんでいたと
  いうのにコイツは…



  「あんだよ三成ィ!?
  ひとりぼっちで城
  に閉じこもってて
  可哀相だなぁ…
  って思ったから
  遊びに来てやったの
  によぉっ…!!」



  「うるさい馬鹿。
  大体お前なんぞに
  哀れまれるいわれ
  などない。」


  「かぁ―ッ!!?
  んだと、てんめっ?!」


  



  「騒がしいな。」



  「馬鹿が増えたか…」


  「清正ァ!!聞いて
  くれよぉおぉっ
  三成がっ…」


  「どうせくだらない
  ことだろうから言わ
  なくていいぜ。」



  「ばっ!?くだらなく
  なんかねぇよ!!
  ちきしょぉ!!どいつ
  もこいつも俺をナメ
  やがってぇえ…」

  

  『馬鹿。』


 「声そろえんな!!」



  がぁあぁあっ
  と、足踏みをして
  二人を睨む。



  「表に出やがれ…」



  「・・・・・。」


  「また始まった、」


  「今スグだぁあっ!!
  今スグ表ェ出ろ!!
  三成ィ!!清正ァ!!!」



  『ガキ。』


  「だぁからぁ-…」


  握り締めた拳を
  ワナワナと震わせる。

  「声をそろえんじゃ
  ねぇよコルァア!!」



     無視。


  「…上等ッ……!!」


  たぶん堪忍袋が
  ブチ切れました。





   がしっ


   「 … っ!! 」

   「…ッ!? 」


  「強制送還ッ!!!」



 二人の腕を掴んで
 中庭へと踊り出ると、
 思い切り投げ飛ばす。



  「……馬鹿が…ッ」

  「…正則ィッ…」


  「なんとでも言えェ
  ぶゎ―ッか!!
  喧嘩だ喧嘩ぁ!!!
  拳と拳のぶつかり
  合だぜェ!!
  くぅ―…しびィっ」



  三成は
  はぁ、と深い溜息。


  
  「清正。
  お前この馬鹿をとめ…」


  


  「うし、やるか正則。」

    がくっ

  「清正お前何を…」


  「しゃぁぁあっ!!
  燃えてきたぜガチでぇ!!」


  「ガチで。」


  「お前ら…
  馬鹿なのか?
  清正、お前も正則に
  のせられるな。」


  「三成も立てホラ!!
  漢と漢のガチンコ
  拳勝負だぜ!ガチでぇ!!」


  「ガチで。」



  「だから馬鹿なのか?
  清正も本気か?」


  「ガチで。」


  「話にならんな。
  馬鹿だろお前。」




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