戦国

□馬鹿の背くらべ
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  「馬鹿馬鹿
  言ってるけどな。
  三成、お前も十分…
  いや俺ら以上に
  馬鹿だろ。」


   「なに?」

  三成の眉間に
  ぴくりとしわが寄る。

  「馬鹿って言う奴が
  馬鹿なんだよ。」


  「清正の言う通ォり!!
  やーい、やーい!!
  頭デッカーチー!!」


  「頭デッカチ〜」

  清正も正則のあとに
  続けて棒読み。



  「言ったな貴様ら…」


  小馬鹿にした態度に
  スイッチが入る三成。

  「俺は貴様ら馬鹿とは     違うのだよ!!」


  だぁん、と
  力任せに立ち上がる。

  「お、やるか?」


  「しゃぁぁあっ!!!
  漢の意地をかけた
  熱い拳の交じり合い…
  くぅ〜…しびぃ!!!
  燃えてきたぜガチでぇ!」

  「格の違いを知れ
  正則、清正ァ!!」


  三人立ち上がり
  睨みあう。


  すると遠くから
  彼等を呼ぶ声。


 「正則ィーっ清正ぁーっ
 三成ィーっ!!
 はやくご飯食べに来な
 いとお説教だよー!?」


  「おねね様だ。」

  清正がふと
  声の方を向く。

  「飯か…。」

 三成も続けて向く。

  「しゃぁぁあ!!
  じゃあこうしようぜ!?
  こっからあの部屋
  まで競走すんだよ!」

  『ガキ。』


  「声揃えんな!!
  あと最後まで俺の
  話を聞けよ!!」


  「なんだようるさい…」
  

   「クズが。」


  「競走して1番
  ビリっケツは
  おねね様の飯抜き!!
  真の馬鹿って事で!」


  「なにっ…!?」
  

  「上等だな。」


  「しゃあ行くぜェ…!?
  よォーい……」


  『どんっ』

 

  「あ、てめ清正三成ィ!!     ズルだぞそれ!!!
  俺がどん言うんだよ!     待ちやがれぇえ!!」

  コルぁあぁぁあっ…

  ドタバタと
  激しい足音をたてて
  去っていく三人。



  それを影で
  見つめていた人物が
  いた。


 「…みんな馬鹿じゃろ。」


  「お前様ぁーっ!?
  ご飯だって言ってる
  でしょぉ!!?
  お仕置きだよぉーっ!?」


  「…っといけん!!?」


  今行くから
  お仕置きは勘弁じゃ
  ねねぇーっ…!!


  


  秀吉も駆け足で
  皆が待つ部屋へ急いだ。





  ―馬鹿の背くらべ―








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