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不意に聞こえた声…この声は
『人の…声…?』
気がつくと大妖の手に乗っていた。
「おや、人と妖の声を貴女は聞き分けられるようだ。それも随分と高い妖力をお持ちのようで。」
声の発生主もその手に乗っていて私のもとに来る。
『だ…れ…?』
もう…あんまり意識が保てない。
血を…出しすぎたみたい…眠いし…
もう…………死んでしまおうか……
「怪我をしている…じっと静かにしていなさい」
この人は…なんなんだろう?
流石に…人の目の前で死ぬのは…駄目か…
『平気…です…すぐに…治せ…ますから…』
傷の部分に集中すれば少しずつ傷が塞がっていく。
あまり人に見せたくはない力だが。
「凄いですね。そんなことも出来るのですか」
『凄い?…初め、て言われ…ました…気味悪いで、しょう?自分の傷しか治せな、い役立たずな…不気味な、力…
これがなきゃ何度も…死んでましたし…それに…日に何度も使えない……使うと眠くなる…』
…この力を褒められたのは初めてだった…そんな物好きもいるものなんだ…
「ならそのまま眠りなさい。貴女の体は妖力の回復を望んでいる。だから眠くなるのでしょう。」
その言葉に促されるかの様に私は眠りについた。
そして私は青葉が涙を流していた事に気付かなかった。