LONG

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『逃げなくちゃ。祓い屋が来るっ』

早く、少しでも早くここから離れなきゃ。


でも…どこに逃げたら良いの?

私が帰る場所は10年程前に無くなってしまったっていうのに。


そんなことを考えながら走っていたのが、いけなかったのだろうか?

石に躓いて転んでしまう。


…痛い。凄く痛い。

とりあえず山から下りよう。

景色が綺麗だから登ってたけどもう来るのはやめよう。

こんな目に合うのはもう沢山だ。

…あの家に行かなければいけないの?

早く帰ればその分長く虐げられることになる。

それは何よりも嫌だ。


麓まで走ろうかとも思ったけど、

別に払い屋に捕まったって、妖に食われたって今の生活を続けるより楽な事はすぐに理解できた。


そうだよ。私は充分頑張ったよ?母さん、父さん。

弟に最期まで会えないのが残念だけど仕方がない。

そろそろこの世界とおさらばしようと思う。


そしてその時。


『くっ…うぅ…』

古傷が開いた様だ。制服の腹部が紅に染まる。

痛い…痛いよ…

なんで…私ばっかり…!
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