恋すてふ♪
□六.親友
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京の本屋、および貸本屋は大盛況を見せていた。
身分のそれなりにある人が、お金を出して詩集を受け取る様子を一般民衆は眺め、あちこちで人だかりが出来ている。
原田が屯所に戻る間、見たものである。
「よぅ、左之。どこ行ってたんだ?」
屯所に入るや否や、永倉に呼び止められた。
「ちょっとな。京はすげぇことになってるぜ」
「あぁ。人だかりだろ? そりゃあ、そうだろうな。何たって今日は……って、左之ぉおおおお!?」
「な、何だよ。大声出して、吃驚したじゃねぇか」
しかし、永倉は驚きを隠せない様子。そして、原田の持ってる物に指差した。
「あぁ、これか?」
「それ、今日出た『梅若集』じゃねぇか! 左之、お前ついに目覚めたか!」
「そんなんじゃねぇよ。岱斎先生に貰ったんだよ。無料でな」
永倉は、こういうのには目がない。それを知っている原田は、少し意地悪っぽく笑った。
案の定、永倉は悔しそうな顔をした。