恋すてふ♪
□八.発覚
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原田から、加子に文が届いた。
松原家の郵便物を取る役である、加子の弟から渡された時には心底驚きを隠せなかった。
加子は、弟が出て行ったのを確認し逸る気持ちで文に目を通した。
「凄い、律儀な人……」
加子は率直に、そう口にしていた。
(もう二度と会うことはないだろうに、こうして感想などを書いて送って下さったんですもの)
そうして、何度も文を読み返す。会えないのは辛いが、加子はますます原田に惚れた。
文を見つめながら、あの優しい男を思い浮かべる。
自然に、顔が破顔してしまう。
詩の意味は伝わらなかったかもしれない。それでも、読んでくれたことが嬉しかった。二度と会うことはないかもしれないのに、律儀に感想を教えてくれた。
それが、何よりも加子の恋心を深く濃厚なものにした。
「姉ちゃん!」
「!?」
一人気持ち悪いほどに顔を綻ばせていた加子だったが、ふと弟の声が響き渡った。
慌てて文を、文箱に入れた加子。直後、弟が部屋に転がり込んできた。